空の閃きは
結構な長さの階段を昇ると、天井の位置にある空がキラキラと揺らめいているのに気付いた。
既に前方を歩く人影はなく、私達が最後だと言うように、登った後ろから足元にあった階段が消えていった。
「まるで背水の陣のようですね」
レオの言葉にラゴスが「良いこと言うね」と笑って答えた。
笑ったラゴスはさっきまでの憔悴した雰囲気は何処にもない。
「前進あるのみですから、猪突猛進でも合っているかと」
一応言ってみると「やっぱりユイって男気あるなぁ」とラゴスに何故か感心されてしまった。
は?
私、何時ラゴスの前で男気発揮しました?
思いっきり聞きたいけど、それをしたらやっぱり男っぽいって言われそうだったので止めておく。
そんな事を考えていると、目の前ののキラキラ揺らめく空が近づいて来た。
青白い光が揺らめく幻想的な光は何故か心を落ち着かせてくれた。
一歩一歩と近付き、その不思議な煌めきに触れたと思った瞬間。
バシャン。
湖の浅瀬に立っていた。
「うっわ~。びしょ濡れ~」
白いただの布が水に濡れて体に張り付いている。
15歳の体は、でも、それなりに丸みを帯びていて正直恥ずかしい。
考えてみると、大人になってから水着とか着る事なんてなかったな……。
海もプールも行かなかった自分に思い至りビックリしてしまう。
「最後に水着を着たのが体育の授業って、何だか悲しい」
思わず「ギャォーっ」と女性にあるまじき雄叫びを上げてしまった。
我に戻り周りを確認すると、笑いを堪えているレオと、呆然とこちらを見ているラゴスが目に入った。
「普通、暑い日は自宅のプールとか公共のプールくらい行くだろう?」
「え?」
ラゴスの言っている意味が判らん。
「公共のプールは解るけど、自宅にプール?何処の国の事?」
あっ、そうか。
この人達、外人だった。
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