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20キロ先にある物は

何時もよりゆっくりと感知魔法を発動させる。


時間をかけたのは自身の魔力を感じながらより多くの魔力を練る為だ。


ゆっくりと、着実に、見落としなく広がるようにと私の魔力を練り込んで行く。


本来使う魔力の10倍もの魔力を込めてやった。


じわり、じわりと。


突き進む事約20キロの地点で引っ掛かりを覚えた。

例えるなら『そこだけ寒々とした空気を感じた』と言うべきか。


「レオ、何か判らないけど、一ヶ所だけとても冷たい場所がある」


既に感覚共有をしているレオはゆっくりと目を開く。

「僕にも見えた。多分間違いないと思う。良く頑張ったねユイ」


レオは先程のように優しく私の頭を撫でた。


頭撫で撫でとか正直微妙な気分だが、それは敢えて言わないでおく。


「じゃあ、皆さん。ここから約20キロ地点にキーポイントがあるようです。急いで移動しましょう」


まるで何処かの引率の先生のようにレオは皆を誘導し始めた。


まぁ、考えようによると三角の旗があればバスガイドさんかも……と一人でかってな想像をする。



レオがバスガイドさん?


顔は中性的なイケメンだからきっと女装も似合うかもしれない。


そう思うと何だかおかしな気分になる。


人間って、どうしうもない時でも笑えるものなんだ。


そう思った。


そして、更に我々は進む。


20キロ。

()れど20キロ。


長い。

大分長い。


歩けども歩けども全然着かない。


気付けば我々の仲間は大きく縦に伸びるように歩いていた。



後ろの集団が既に小さくなり、夜なのも影響してか、目視では確認出来なくなっていた。


何時間歩いたのだろうか?


歩けども歩けども明るくならない空。


「やはり、ここに朝は来ないのか?」


誰かが呟く声に不安の色が漂う。


それは、ゆっくりと、確かに、我々に浸透するように影を落とす。



まるでそれは水面に落とされた小さな石のように、暗い波紋を我々の上に落とした。


まるで見えるように士気が落ちて行くのを感じる。

そんな時、レオの声が響き渡る。


「後、30分の距離に目的の場所がある」


厳密には後3キロだから、もう少し時間が掛かるだろうが、レオのその声に下を向いていた仲間達の顔が浮上した。


意気揚々と歩き出す仲間達。


何て現金なのだろうか?


そして歩く事約40分後、目的の場所へと到着した。


そこには拳程の小さな石があっただけだった。


お読み頂きありがとうございます。

また読んで頂けたら幸いです。

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