レオの独白2
すみません。進行上、先にレオが異世界に来た当初の話を先に投稿致します。
次話には本編に戻りますので一話だけお付き合い頂けたらと思います。
世界が暗転した。
きっと、僕は死ぬのだろう。
車体が傾き僕は僕の前方に彼女の姿を捉えて半場諦めの境地に立たされていた。
最後に好きな人の側で死ねるなら……それも良いか……。
そんな風に思える位には、僕は狂っていたのかもしれない。
そんな僕の意識がゆっくりと浮上して行く。
それに伴い四肢の感覚がゆっくりと回復して行くのを感じた。
何か柔い物が下にある。
多分彼女だろう。
そう思い体を動かそうとすると、物凄い倦怠感に襲われる。
「うううっ……」
何とか重い体を動かし、重い瞼を開けると、そこには一面の湖面が広がっていた。
「えっ!!」
女の子の声に、それが僕の思い描いていた姿でない事に初めて気付く。
引き込まれるような金の瞳の女の子。
「ごめん。大丈夫?」
まさか大の大人が子供を下敷きにしていたなんて、とても申し訳ない。
「僕なんかの下敷きになって……ごめんね。潰れなかった?」
起き上がり女の子へ問い掛けると驚いたように目を見張った女の子は自身の体を触って何かを確認しているようだ。
そして、胸の辺りを触っていた女の子がはパタリと動作を止めるや大きく目を見開いた。
「えっ……あれ?」
最初、自身の手を呆然と見ていた女の子は、それから顔、全身と両手で触りながら確認して行く。
「もしかして……若返っているの?」
驚きを露にする女の子。
その言葉に僕自身も自分の姿を確認する。
そこには一回りも二回りもコンパクトになった自分がいた。
周りの人々も気が付いたのか、一人また一人と立ち上がる。
全員が起き上がると脳裏に不思議な声が聞こえて来た。
『我が世界へようこそ地球の民よ』
中性的な声は自然と頭の中に浸透して行く。
全ての説明を聞いた後に騒ぎ立てる人々。
「課金アイテム!!」
毎度ありがとう。
「俺のレアアイテムが!」
レアとか運が良いよね。
もしかして課金してくれた?
「私の契約魔獣はどこ!!」
そもそも世界が違うんだから持ち込めていないよね。
契約魔獣が持ち込めるんなら装備品位簡単に持ち込めるのに。
そう思い自身のステータスやスキルを確認した。
どうやら事故に会う時に起動させていた管理システムは持ち込めたようだ。
思わず口角が上がるのを何とか押さえる。
そして、回りを見回せば良く見知ったラゴスが見えた。
だからいつもの合図を送る。
『他人の振りをしていろ』と。
そして僕は空を見る。
今の位置を確認するのに星や月はとても大切だから。
澄み渡った一面の星空。
『綺麗だな……』
ぼんやりと一際輝く星を見つめていた。
空には無数の星達。
月は天井高く登っており丁度半月状だ。
『上弦の月か……おかしいな……昨日は新月だったのに……』
馬鹿のようにそんな事を思ってしまったのは、ある意味の現実逃避だったんだと思う。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。




