なんちゃって聖女
私は特別な存在。
愛される為に生まれて来たヒロイン。
だって私は数多の攻略対象を攻略して、最終的には逆ハーレムも達成させたステータスを持つ者。
そんな私はきっと転生テンプレで良く聞くハイスペックな男子達から愛される運命なのよ。
だって、この美しい肢体。
出る所は出て凹む所は凹む。
とても15歳には思えない体型。
それに、ピンクブロンドに桃色の瞳。
滑らな肌はしっとりと吸い付くよう。
ぷっくりとした唇は化粧もしていないのに淡く桜色に染まっている。
誰からも愛されるキャラだと思うの。
そんな私のステータスは
職業は聖女。
神の愛し子。
加護:人々に癒しを与え(特に男性)、皆に愛される存在。
そう、私は正に乙女ゲームのヒロインになっていた。
龍族の王子様が私の元へ来てこう言ったの。
「お前ならば皆から愛されよう。そちのような者を求めていたのだ。癒しの乙女の館に招こうではないか」
と。
異世界転生のテンプレ来たーーーーー!!!
こうして、私は王子様と結ばれるのよ。
そっと私の手を取る龍族の王子。
フフフ……これぞ私のシンデレラストーリー。
もう誰も私を馬鹿にしないわ。
それどころか見てなさいよ。
私が王子の妃になるんだから。
「私は龍族第一王子セシャ」
「私は聖女の美姫です」
もう名前負けなんて言わせない。
だって、今の私は龍族の第一王子に見初められる位に美しいのだから。
「美しいって罪だわ……」
一度は言ってみたかった台詞だ。
今の私はそれが許される。
そうして、うっとりとセシャ王子の手を取ったのだ。
☆☆☆☆☆☆☆
龍族の郷に着くとセシャ王子は私の手を取りこう言われた。
「ミキをこんな野蛮な者達と一緒には出来ない。癒しの乙女の館から迎えが来ているからそこで健やかに過ごしてくれ。ミキが沢山勉強して大人になったら一番最初に会いに行くから。ミキの初めてを我に」
セシャ王子はそう言ってそっと私を抱き締めてくれた。
フフフ……。
王子でも私の美しさに膝付くのね。
本当に美しさって罪だわ。
そして、私は下働きらしい女に連れられ美しい館へと向かったのだ。
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