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その頃の龍族2

「父上」


ガタガタと足を震わせたセシャ王子はそのまま、その場に崩れ落ちた。


「我の話した事が理解出来ぬ息子など要らぬ」


父、龍王の怒りに第一王子であるセシャはひれ伏すばかりだった。


龍王の怒りを受けて、先程まで晴れ渡っていた空に雲が差し、今や外は荒れ狂う嵐と化していた。


「父上。どうか御容赦を」


本来なら参謀のギルティスは第二王子を始まりの地へ向かわせようとしていたのだ。


何故なら第一王子(バカ)より機転が回り、少なくとも一方的に王の怒りを買う事はなかったはずだからだ。


それに、自身の元婚約者だった女の子供だ。

特別に目を掛けている。


「一人、強い者が居ましたが、何せ言うをことかいて何の役にも立たない娘を連れて行くと我の話を聞かなかったもので……」


言い訳のように父にすがり付く第一王子(バカ)


長年側に使えていた侍従のダリウスはあの時の事を思い出す。



☆☆☆☆☆☆☆



「魔剣士レベル999か。この中では一番強そうだな」

セシャ殿下はそう言って顎に手をやる。


王子の言葉に遠くにいる『レオ』と表記された男を見るとレベルもそうだが、何よりその顔立ちから知性を感じさせた。


まだ、成人したての子供のようだが、引き締まった顔付きは既に我が龍族の参謀を相手に出来るほどのものを感じさせる。

その雰囲気は、どちらかと言うと龍族の第二王子ソルジュ様に似ていらっしゃった。


それが第一印象だった。


「おい。そこの者」

セシャ殿下は何時もの振る舞いでレオに声を掛ける。


「我等の仲間に入れてやろう。どうだ。嬉しかろう?」


何時も通りの横柄な態度。


何せ、我が龍族の第一王子だ。


セシャ殿下より偉いのは龍王様唯御一人。



「もしかして、僕に言ってます?」


レオは爽やかな笑みを見せてセシャ殿下の方を向いた。


「そうだ。そちだ。我等の仲間になれ。そち程の者ならば我の護衛騎士に任命しても良いぞ。嬉しかろう」


仁王立ちになりながらセシャ殿下はレオにそう言い放った。

一瞬考える風を取るレオだが、直ぐに交換条件を出して来た。


「そうですね。護衛騎士は恐れ多いので他の者に、それと、彼女も一緒なら」


多分今のは熟考してはいない。

サラッと護衛騎士を拒否し自分の要望を伝える思慮深さ、これは既に彼の中で決まっていた事だろう。

そう確信出来た。


これ程強い御仁が言う彼女だ。

余程特別な存在なのだろう。


そう思いレオの指し示す方を見た。

水色の湖面を思わせるような綺麗な髪が見えた。

生憎後ろ姿で顔は見えないが……しかし、そのステータスは見て取れた。


「ただの村娘?それもレベルなしとな?」


セシャ殿下の顔が(けわ)しくなる。

お読み頂きありがとうございます。

また読んで頂けたら幸いです。

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