君の事は僕が一番良く知っている
「ビジネスパートナー……ビジネスパートナー……」
レオが何やら小さくブツブツ言っているけど、 それを無視して私はキーランに説教中だった。
「良いですか?そもそも私達が間に合わなければ貴方は吸血鬼の眷属にされていたんですよ。分かります?」
「もしかして……さっきのパートナーって……ビジネス……パートナー?」
私のセリフの後ろで更にレオがブツブツ言っている。
「助けた私達にお礼を言うならまだしも、第一声が『何の用だ』とは何事ですか?貴方それでも日本人?」
「じゃあ……パートナーって……僕の勘違い……」
更に後ろでブツブツ言っているレオ。
「今日びの小学生だって挨拶運動でやってますよ」
「五月蝿い。レベル無しの分際で」
キーランはワナワナと私を指差して怒りを露にする。
さっきまで、情けなくもみっともなく逃げ回っていた男。
助けるべき仲間を誰一人助けずに逃げ惑った男。
「レベル無しだから何だと言うんですか?魔法が使えない?スキルが使えない?じゃあ、この拳一つでガチンコできますか?私勝つ自信ありますよ」
足元に落ちていた石ころを拾い上げ思いっきり粉砕させる。
「ひーっ」
キーランは顔を青くし、腰を抜かしたのか地面に尻餅を着いた。
「ユイ。その辺で」
何やら立ち直ったらしいレオが私の肩に手を当ててきた。
「キーラン殿。取り敢えず吸血鬼はこのままで、仲間を連れて我々の仲間と合流しましょう」
テキパキとレオがキーランに指示をする。
「ユイも、あまりキーラン殿を煽らないように。君が強い事は僕が一番良く知っているから……ね?」
コテンと首を傾げて私を見たレオ。
絶対この人自分を分かってやっているわ。
そう確信した。
怒っている時の私は通常の3倍は状況把握が速いんだから。
「分かったわ。そう言う事にしといてあげる」
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