飛翔中の馴れ合い
ぐんぐんと飛翔する私達。
前回よりも多くの距離を飛ばなければならないのに、大丈夫だろうか?魔力は。
「ユイ。広範囲感知魔法を頼む」
レオの魔力を心配していると、レオが涼しげな声でお願いしてくる。
「分かったわ」
私は急ぎコマンドを出すと広範囲感知魔法を発動させる。
一瞬にしてレオの瞳に光の粒子が舞う。
「思ったよりも距離があるね」
私の感知したキーランご一行はスピカよりも移動していた。
まぁ、一応彼等は戦士が多かったから足も速いのだろう。
「ねぇ、レオ。さっきより距離があるけど魔法大丈夫?」
途中で魔力切れになったら二人で仲良くあの世行きだ。
ここは慎重に確認しておかねば。
「うん。大丈夫だよ。さっきユイに魔力貰ったしね」
ニコリと微笑むレオ。
でも、そんな可愛く微笑んでもオバチャンは騙されません。
「さっきより飛距離は長いんだから、途中で魔力切れになるんじゃない?」
単純計算でも足りないと思うんだ。
「そんな事はないよ。これでもレベル999なんで」
しれっと嘯くレオ。
「本当に?さっきスピカの所で捕縛魔法を連発しているし、今回はさっきよりも飛距離も多ければ速度も速いよね」
空かさずレオに指摘してやる。
「絶対魔力馬鹿食いしているよね」
色々な意味で心配している私に、レオがにこりと微笑む。
「その時は、また魔力頂戴ね」
可愛く言ってもオバチャンには通用しないんだからね。
「そんなに簡単に言わないでよね。こっちだって魔力が無尽蔵にある訳じゃないんだから……」
思わずプイっとしてしまう。
「毎回あてにしてもらっても困るんだから」
本当はそんな事これっぽっちも思っていないけど。
「頼りにしていますよ。だって僕達パートナーだからね」
近距離でのその囁き。
滅茶苦茶地雷だ。
顔が良いだけに……破壊力が並みじゃない。
「分かったわよ」
今度からは適切な距離をとろう。
そう思ってしまった。
そんな馬鹿な話をしている内にキーランの姿が見えて来る。
どうやらキーランだけが這う這うの体で逃げ回っているようだ。
一度は吸血鬼の眷属になったであろう人々は地に伏して、それ以外はキーランと追いかけっこ中だ。
「ユイ。悪いんだけど吸血鬼化した者達に捕縛魔法を掛けて」
空中で制止したレオは、私を抱き抱えながらそうお願いした。
「分かってますよ」
私はそう言うと一人一人と捕縛魔法を発動させた。
どうせ私は今レオのお荷物状態ですからね。
お姫様抱っこの難点は両手が塞がってしまう事だろう。
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