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取り敢えず保留で

「さて……と」


レオは人間に戻らなかった三人に再び向き直る。


「心苦しいけれど、このままにはしておけないよね……」


悲しそうな顔をするレオ。


吸血鬼化した元仲間達をこのままにして置くのはとても耐えられないのは解る。


でも……。


「何か他に助けられる方法があるかもしれない。取り敢えずこのまま捕縛魔法を掛けておこうよ」


これは単なる欺瞞(ぎまん)かもしれない。

幾ら吸血鬼化したとはいえ、同じ地球人仲間をこの手で殺すのは辛いはずだ。


「だって、ここは始まりの地でしょう。まだまだ私達はこの世界を知らないのだから、もしかしたらこの世界には彼等を助ける手段があるかもしれない」


それはあくまでも可能性の話なのだ。


そんな私の方便をレオは「そうだね。諦めなければ可能性はあるんだから」と凄く納得している。


硬く両の手で握手をしてくるレオに

「うん。私達で頑張ろうね」

と付け足しておく。

まるで憑き物が落ちたような変わりぶりだ。


「吸血鬼はこのまま捕縛魔法を掛けておいて。さて……」


レオはスピカの方へと足を向けた。


「スピカ殿。時間が惜しいので説明は後にします。吸血鬼は捕縛魔法でそのままに、決して攻撃はしないようにお願いします。それと、仲間を連れて北北東へ向かってラゴス達と合流して欲しいんです。理解出来ましたか?」


レオの言葉に一瞬スピカが口ごもる。


「分かっていると思うけど、この始まりの地を出るまでは協力し合う仲間は必要だと思うんだよね。そこはもう解るよね」


にこりと微笑むレオが何故だか怖い。


スピカはコクコクと先程までとは打って変わって素直に頷いた。


「僕の言葉を理解してくれてありがとう。余計な手間が省けて嬉しいよ。スピカ殿」


レオの微笑みが何故か黒く見えてしまった。


「じゃあ、僕らはキーラン殿の所へ行こうか」


そっと手を出すレオ。


多分また飛翔魔法を使うのだろう。


今度はさっきより距離があるから飛翔魔法は必須だね。


さっと脇に手を入れたレオは軽々と私を抱き上げる。


流石に二度目なので慣れたものだ。

その反対に、喪女の私は全然慣れない。


飛翔魔法で宙に浮かぶ私達をスピカが呆然と見ていた。


「じゃあスピカ殿。先程の話の通りにお願いしますね」


セリフは優しいのに何故か命令しているように感じてしまう。


不思議である。


案の定スピカは眼下でしきりに頷いているし。


「じゃあ行きますよ。ユイ」


そう言ってレオは速度を加速させた。


お読み頂きありがとうございます。

また読んで頂けたら幸いです。

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