魅了魔法?
「我等の餌である下等な生き物のお前達に、何故我が教えてやらねばならない?」
流石は闇の眷属。
気位の高さではナンバーワンなだけあり捕らえられているのに、すっごい高圧的な態度だ。
捕縛の網にからめられていようと、その気高さには何の遜色もない。
近くで騒いでいる何処の誰かさんとは雲泥の差だわ。
「それに人間、お前の態度は教えを乞う者の態度ではないな」
捕らえられて尚も気高いその男。
お約束のような銀糸の長い髪。
切れ長のまるでルビーのような赤い瞳。
バッサバッサの長い睫毛。
顔の作りもまるで陶器で出来た人形のように整っている。
あぁ。
絶対これは友人好みだ。
こんな人がイベント会場にいたら写真撮りだけでも行列ができるだろう。
ふと、そんな吸血鬼と目が合う。
真っ赤な瞳は何か物言いたげに私を捉える。
えっ?
何?
その熱い視線は?
何かスッゴくガン見してくるんですけど。
タジタジとしていると何故かレオが私の右腕を取り、グイッと私を自身の方へと引き寄せて目を覆い隠す。
「なっ……(何事?)」
声にならない悲鳴を何とか飲み込む。
目隠しされていても解る。
今、滅茶苦茶レオが近い。
「魅了魔法を女性にかけるなんて、ルール違反ですよ」
ドギマギしていると私にレオの冷たい声が響いた。
魅了魔法ですって?
つまり、好きでもない相手に目をハートにさせられるあの魅了魔法?
つまりチャーム?
「嘘。やだ」
まだ彼氏も出来た事がない私だ。
初彼位夢見たいよ。
何とかレオの手をどけて自分のステータスを確認する。
どうやら状態異常はないようだ。
ほっ。
胸を撫で下ろす私を横目に
「さて、何で仕留めるかな」
と、ステータス画面を見ながら魔法やスキルを選ぶレオ。
なんか滅茶苦茶怒っているんですけど……。
幻でないのなら、ほら、こめかみ辺りに怒りマークが見えるんですけど。
らしくないレオを見ていたら何故か自分が冷静になって来る。
そして、吸血鬼を再び見た私は、吸血鬼の詳細を知る為に吸血鬼のステータスをスキャンした。
お読み頂きありがとうございます。
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