レオの独白1
僕の名前はレオニール、今年残念ながら40歳になってしまった。
名前で察する人もいると思うけど、友人達には「レオン」と呼ばれている。
だからゲームをする時は何時も「ン」を取って「レオ」と付ける事が多かった。
日本人に言わせる所の外人(これでも日系三世なんだけどね)の僕は、大人になると歳を取ってもあまり外見が変わらないらしく。
見た目が若いせいかよく大学生と間違われる。
まぁ、通っていた職場が学校だから仕方がないか。
これでも仕事をしている社会人なんだけどね。
そんな僕が何故日本にいたかと言うと、何故かあまり自分では親しくないと思っていた先輩から誘われて十五年前から日本で英語の講師をしている。
某大学の付属高校で英語を教えている僕は、何時もある女性を見ながら通勤中の電車の中でアプリゲームをしていた。
そう、何時も近くに居ても彼女に警戒されないように……。
多分、彼女は僕の事を覚えていないと思うんだ。
だって、あの時の彼女は酔っていて僕を何かのキャラクターの仮装をしているコスプレイヤーだと思っていたようだから。
本当に失礼しちゃう。
こんなに紳士的なのに。
酔った彼女との楽しい一時を、翌日の電車で会っても全然気付かない様子の彼女を。
だからきっと忘れているんだ。
まだ、日本に来たばかりの僕が歓迎会の後に乗った電車で酔っ払いに絡まれていたのを助けてくれた事を。
何か訳のわからないおじさん三人に絡まれて、早口の言葉が分からずドギマギしていた僕の事を。
そして
「お礼がしたいなら甘酒奢れ」
と自動販売機の前で啖呵を切った事を。
「どうして僕を助けてくれたんですか?」
他の皆は見て見ぬふりをして去って行ったのに。
「あんたバカ~?(オタク)仲間が因縁つけられているのに無視するなんて人間じゃないよ」
何の仲間かは良く分からなかったけど、僕の事を仲間だと言って何の見返りもなく助けてくれた彼女がとても眩しかったんだ。
だから、この世界に来て彼女だと判った時に思ったんだ。
今度は僕が彼女を助けてあげようって。
だって、今度は本当に仲間なんだから。
そして、今度は年下だと言う弱みの関係のない、いたって同じ位置の関係を築こうって。
そして、いつか言うんだ。
ずっと貴女を見てました。
ずっと貴女が好きでした。
って。
だから、どうか今度は僕を見て下さいね。
お読み頂きありがとうございます。
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