始まりは定番でした
今日は祖父の命日でした。
自分何も出来てないな……と思うと大分悲しいです。
もし、やり直せるならな……とか感傷に浸りながら何となく書いた物です。
朝のラッシュ時。
珍しく座席に座れた私は、これから1時間の通勤時間を満喫する為にポーダブルゲームを始めた。
存外、最近の通勤時にゲームをやっている人は多い。
スマホで出来るアプリゲームが普及しているせいだろう。
都心までの乗り継ぎの中、知り合いに勧められたゲームを楽しむ。
現実が干された環境なだけにゲームにのめり込む度合いは高かったと思う。
ふと、前を見ると異国風の青年がスマホを片手に立ったままアプリゲームをしている。
金髪にアーバンの瞳。
多分ここから3駅過ぎた所にある大学に通っているのだろう。
時折出る言葉が理解出来ない。
外国人?かな。
私がもう少し若ければトキメキを感じたのだろうな……。
現在50代の自分ではそれもないか……。
会社からは「早く寿退社してくれないかな」と言われていた私は、現在では古株のお局様と呼ばれている。
影では喪女とか色々言われているが……。
それよりもゲームだ。
今やっているのは恋愛育成ゲーム。
色々やり込み出来る為に、ゲームをクリアするより色々なスキルのレベル上げにはまっていた。
知人からは早く第一章をクリアして職業名を変えたら?と言われているが、何せやり込み派。
なかなかストーリーが進まない。
何せカンストがないのでレベル上げに滅茶苦茶はまっていたのだ。
『今日は少しストーリーを進めようかしら』
そう思いアイコンを外に動かした。
そんな時だった。
車体が傾いたのは。
全てがスローモーションに流れるなか、目の前の彼が私の方へ倒れて来た……。
目を開けるとそこは別世界だった。
重なり合うように倒れているのはあの青年だろう。
彼の金髪が顔にかかる。
「ここは……」
薄紫色の空にぼんやりとした青白い月。
何処かの草原に私達はいた。
そう。
私の周りには幾人かの人々が倒れていたのだ。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。