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花粉症オーケストラ【春の詩企画】

作者: アオベエ

 花粉症オーケストラのこの季節

 クシュン クシュン

 ズズッ  ズズッ


 街は人々の奏でる音で溢れている

 スーツを着たサラリーマンも 通学中の女子高生も

 散歩をしている高齢者だって この季節はみんな奏者になる



 花粉症オーケストラのこの季節

 そよそよ そよそよ

 びゅう  びゅう


 未来圏から吹く風が 僕達から今を連れ去って行く

 心を置いて行かないでくれ 不安や焦燥感も連れて行ってくれ



 花粉症オーケストラのこの季節

 コツン コツン

 ガタン ゴトン


 地面を叩く真新しい革靴の音がリズムを刻む

 まだ見知らぬ街と見知らぬ人々は 僕の心を空っぽにする



 花粉症オーケストラのこの季節

 ゴシゴシ ゴシゴシ

 ヒリヒリ ヒリヒリ


 雑踏の中一人の女性が ヴァイオリニストの様に目を擦っている

 目を赤くした見知らぬ彼女を見て 空っぽだった心が少し満たされた気がした



 花粉症オーケストラの季節がまた訪れる

 見知らぬ何処かの誰かも 見知らぬ何処かのあなたと僕も

 それぞれの人生の時期の中で この音を聞いているのでしょう

本作は「春の詩企画」参加作品です。

企画の概要については下記URLをご覧ください。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 企画ご参加ありがとうございます。 賑やかで楽しい作品ですね。 あちこちで花粉症ならではのあんな音、こんな音が聞こえる中で、新しい環境へ飛び込んでいく際の、あの期待半分、不安半分といった気持…
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