第八話「......少しぐらい返事したらどうだ?」
これまでの人格事件......
暗井「はあ......私の高校生の時の友人が最近BYが目覚めたって......そいつの能力が操る能力なんですよ」
気佐野(とりあえず、行きましょう......? この子のお友達の所へ......)
小雪「え......?包丁で指を少し切っただけ......なんですか......?」
暑井「ああ、亜美はきゅうりを切っていたんだ。本人は嫌がっていたが、孤道に命令されてな。」
兎三郎の姉「だ......誰......?」
兎三郎「......僕だよ、姉さん」
こんにちは、オロボ46です。
今回は大五郎からスタートです。
それでは、どうぞ。
「なるほど......
あなたのBLUE-CPYが目覚めたのは数ヶ月前から......なんですね?」
俺は暗井の友人である廃田さんのお宅に来ていた。
「はい、最初は何か話声が聞こえたと思ったら、
いつの間にか体が勝手に動く時がありまして......
今はいい話相手になってますよ」
廃田さんはネットの動画視聴サービスの投稿者だ。
廃墟巡りの動画を投稿しており、収入もなかなかだった。
ただ、撮影以外は外には出ず、
法律で定められたBLUE-CPY登録をうっかり忘れていたらしい。
BLUE-CPY登録はその人格の持つ能力の把握が主な目的だが、
この法律は緩い方なので、登録していない者も多い。
(それにしても......この家も古いわね......
味わいがあっていいけど、地震対策は大丈夫かしら......)
気佐野は家の内装が気になっているようだが、
無視して質問を続けた。
「なるほど......ところで、
事件があった夜、あなたは何をしてましたか?」
「うーん......確か......
僕のBYが買い物に行ってくれてましたよ。
確か"マチナカ"というショッピングモールです。
店員さんも覚えていると思いますよ」
「ビー......ワイ......?」
聞いたことあるが、意味を度忘れしてしまった。
(警察署で教えたでしょ?)
(あ......そうだったな)
BPは若者の間で流行っている略称だったな......
............
それよりも暗井、お前も何か言ったらどうだ......
NEXT TO 黒加
「返却です。二年一組▲番」
俺は受付のカウンターに今日返す本を置いた。
図書室の中は静かだ。
図書委員が俺の図書カードを探している間、
俺は連絡用のメモ張を開く。
メモ張には小雪の字で書かれていた。
"○月△日(金)12:45
すみません、昼休みの内に
今日返却予定の本の返却と、
「○○助青年の事件簿」の借りだしをお願いします。
授業の方は特にありません。
小雪"
そういえば、最近本読んでなかったな......
小雪用の本とは別に、何か借りるか......
(えっと......今日は○月△日......と......)
図書カードに返却日を記入した時、
図書室の空気が変わったような気がした。
「おい、黒加」
無視して図書委員に差し出した時、後ろから声が聞こえた。
後ろにいたのは孤道だったので、俺は無視し続ける。
「......少しぐらい返事したらどうだ?」
孤道はそう言って、俺の図書カードを取り上げた。
「......何のようだ?」
仕方がないので、俺は孤道のお望み通りに返事した。
「それでいいんだ。
まったく、もじもじBP野郎よりも
てめえの本性の方がかわいいぜ」
「......用がないなら帰れ」
「まあ、そうカッカするなよ。
また図書委員に注意されるなんて嫌だぜ」
「......」
「そういえば、あのヒステリック女が
お前にこれを渡せって言ってたな」
そう言って孤道は手紙のような物をちらつかせた。
俺は図書カードと共にそれを奪い取って内容を見た。
"小雪ちゃんへ
明日、兎三郎くんの家を訪れたいと思います。
それで、できれば小雪ちゃんも一緒に来てほしいの。
あの時は勝手に帰ってしまってごめんなさい。
その理由も明日話します。
亜美"
「おい、孤道......」
俺が振り返った時にはすでにいなかった。
NEXT TO 祐介
僕の体の感覚が戻ったのは、病室から出た後だった。
「ふう......もう終わった?」
(ああ、すまなかったな)
僕は腕を回して体の実感を確かめた。
「それにしても、今回は被害者の弟だったから
まだマシだった......」
高次の考え......
それは、幻を見せる能力で
自分の姿を兎三郎に見せて情報を聞き出す......ということだった。
しかしこの方法は......僕は正直苦手だった。
先ほど僕が言ったように、今回はまだマシだったけど......
実際しない女性の場合、
高次は決まって好みのタイプのピチピチギャルになる。
(そこまで不服か? 俺は好きなのにな......)
「少しはこっちの気持ちも考えてよ......」
僕は病院の前で高次と会話している。
「さて、収穫はそこそこあったかな」
(とりあえず、もう一度確認するぞ)
僕と高次は被害者の証言を思い出した。
被害者が刺される前、弟との待ち合わせに向かっていた。
電車の都合で少し遅れてしまった為、
夜道を走っていたという。
途中で被害者が転んだ時、
男の人が手を差し出してくれた。
しかし、被害者がその手を握ると、
男はそのままカッターナイフで被害者の腹を刺した。
その男の顔は弟そっくりだったが、その後の言動がおかしかったと言う。
男は血だらけのカッターを見てこう言って去って行った。
「......所詮はカッターナイフかあ......
でもこれだけでも十分に美しい......
ふふっ......いい試し刺しになったよ......」
(要するに、個人的な恨みはなし......ということか)
「そうだね。
それから、彼にはBLUE-CPYはないらしい......
そう言い切れるものじゃないけどね」
BLUE-CPYは生まれた時点では判明しない。
幼いころから発覚することもあれば、
更年期になってようやく目覚めたBLUE-CPYも存在する。
だから、被害者が知らない内に
兎三郎くんのBLUE-CPYが目覚めた可能性が
ないとは言い切れなかった。
(祐介、そろそろ昼食とらないか?)
「確かにそうだね。
そういえば、最近新しいショッピングモールが
出来たとか言ってたから、そこで食べようか」
僕は病院の前から立ち去る。
ショッピングモールに向かっている途中、
僕はあることを思い出した。
「高次......姿を騙してまで聞き出そうとしたのは
情報よりも、元気つけたかったからじゃないかい?」
(......さあ?)
病室から立ち去る時、高次が被害者に向かって
「すぐに犯人を見つける」と
感情を込めて言っていた光景を思い出して、僕の顔は少しニヤついた。
To be continued
カタカタ(キーボードを叩く音)
影島「大手企業の社長、不倫疑惑多いなあ......」
いかがでしたか?
最近、新キャラのネーミングセンスが初期と比べて変わってきてる......
次回もお楽しみに!