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人格事件~もうひとりの私は血で錆びた刃物~  作者: オロボ46
一日目(金)
6/35

第六話「だって事実だから仕方ないだろ?」

これまでの人格事件......


山田「まず一つは犯人......警察は別の誰かが成り済ましている可能性も検討しているらしい......

   もう一つは被害者だ......今は面会はすべて断っているらしい」


気佐野「だからね、別の何者かが成り済ましている可能性が......」

暗井「気佐野警部補の話を聞いて思ったんですが......

他人に()()()()()能力ではなく、他人を()()能力でも可能なのでは......?」


祐介「しかし、あの店主......さっきから不機嫌だね」


亜美の父親「いいか!包丁だけは絶対に持っちゃあ駄目だぞ!!」



こんにちは、オロボ46です。

ただでさえ遅い投稿ペースが

また新しいシリーズ始めたせいでさらに遅くなりました......

(「YOU~ユウ~ 行き先もなくたださまよい続ける冒険」というタイトルです。

ぜひ見てくださいね)


今回は小雪から始まります。

それでは、どうぞ。

ガラガラ


 学校の調理室の扉を開けた。


 授業までまだ時間はある。

私は時計を見ながらエプロンをつけ始めた。

「あ、小雪ちゃん、早いね!」

亜美も後から入ってきた。

「はい......久しぶりの調理実習なので......

つい早く来てしまいました......」

 私はヘアゴムで止めた髪の上から三角頭巾を止めながら

亜美の顔を見つめた。


 亜美は何かを隠しているような笑顔をしていた。




"亜美の様子がおかしいんだが、何かあったのか?"

メモ張に黒加の文字でこう書かれていた。


 そういえばまだ黒加には事情を話していなかった。

亜美が落ち込んでいるのは、

恋人の兎三郎という人の事についてだった。

 数日前から兎三郎さんは行方不明になっている。

それに加えて、彼の姉が何者かに刺された事件の

容疑者の一人として疑われている。

 亜美が落ち込むのも無理はなかった。

だから今日の朝、亜美は私に相談する約束だった。


 時間がなくて出来なかったけど......




 私がこの体を借りている時、黒加は眠っている。


 だから亜美の事情も、

今、亜美の見せた何かを隠しているような笑顔も、

黒加は一切覚えていない。

 三、四時間目の授業が終わったら、亜美と相談しよう。

そして、亜美がいいのなら、黒加にも教えておこう......


 ふと気づくと、周りが少し騒がしくなり始めた。

そして、三時間目のチャイムが鳴った。




NEXT TO 祐介




「申し訳ありませんが、その方との面会は拒否させていただいております」

病院の中、僕は受付の女の子に面会拒否されて固まっていた。


(おい、前の人の邪魔になる。一旦戻るぞ)

高次に促されて、ひとまず席に戻ることにした。




「しかし......参ったな......」

(まあ仕方ないだろう。世間は勝手に弟が刺したと喚いているからな。

その上姉も精神的に傷んでいるだろう)

 頭に響く高次の声は

余裕のある口振りでありながらもどこか怒りに満ちていた。

「ひとまず、先に噂の廃墟に向かおうか......」

(......いや、先に被害者に話を聞こう)

「......どうやって?」

(すまない、祐介、また()()を使わせてくれ)

「......まさか()()かい? それは勘弁してくれよ......」

(大丈夫だ、俺に考えがある)


 しばらく、高次の説明が続いた。

「それならいいけど......

でも、これについては僕は責任を持たないよ。それでもいいの?」

(ああ、任せてくれ)

「......わかった」


 僕は目をつぶった。そして、体の意識が途切れたことを感じた。




NEXT TO 小雪




トントントントン


 きゅうりを包丁で切っていく手はリズミカルに動いていく。


 私は同じ班の人と役割分担して作業を進めていた。

親友の亜美は同じ班ではなかったけど、

協力して効率よく作業できていた。

「あ、小雪さん、トマトも頼める?」

「はい......わかりました......

きゅうりが終わったらすぐに切ります......」




「きゃあ!?」

 きゅうりを切り終え、トマトに取りかかろうとした時、

亜美の悲鳴が聞こえた。


 ふと振り返ると、

向こうのテーブルで亜美が右手を震わせて立っていた。

「あ......あ......」


 亜美はパニックになったように調理室から走り去った。

「お、おい!?亜美!?どこへいくんだ!?」

「ほっとけよ、あんなかすり傷だけでパニックになるヒステリック女が」

亜美と同じ班の男子が亜美を止めに行こうとした時、一人の男子が呼び止めた。


「おい、孤道(こどう)!そんな言い方はないんじゃないか!?」

「だって事実だから仕方ないだろ?」

「亜美は同じチームだろ!

そんな言い方じゃあ協力する気がないだなあ!おい!」

「悪いけどなあ......俺は協力するっていう言葉がなあ......」

いけない......! このままじゃあ喧嘩になっちゃう......

「あ、あの......孤道くん......暑井(あつい)くん......

今はとにかく、作業を進めましょう......」

「......確かにそうだな。ありがとうな、小雪」

「......チッ」


 二人は作業に戻っていった。




 暑井くんはとても真面目で、正直ちょっと暑苦しい。

部活は野球部に所属していて、

この高校で彼の名前を知らない者はいなかった。

 本人曰く、彼女募集中らしいが、

女子と一緒に下校している姿はまだ見たことない。



 孤道くんは、この学校の問題児だった。

いつも他人にいちゃもんをつけては暴力を奮っていて、

好みの女子を見つけては自分の物にしようとする。

 私も、黒加も、あの人には近づこうとはしなかった。



 性格がまったく違う二人は、何かあるたびに衝突していた。




「え......?包丁で指を少し切っただけ......なんですか......?」

 試食の後の食器洗いの時、

私は暑井くんに亜美があの時何があったのかを聞いていた。


「ああ、亜美はきゅうりを切っていたんだ。

本人は嫌がっていたが、孤道に命令されてな。

しかし、何かあったのか解らねえが、俺は孤道のあの態度が気に入らねえな。

自分でまいた種なのに、罪悪感の一つも感じてないんだからな」

「......」




 亜美は包丁が持てないことは私も知っていた。

理由は詳しく教えてくれなかったけど、あまり慣れていないらしかった。


 私と亜美は親友ではあるけど、あまりお互いの家族のことは話していない。

亜美が兎三郎くんを連れて[青脳]を訪れたことはあるけど、

その時はお客として来ていたし、

私は亜美の家はどこにあるのかも知らなかった。


 だけど、きっと亜美は何かあったんだろうと思う。

私にも言えない、何かが......


 心を詠める能力があればいいのに、と少し思った。





To be continued

大五郎「車のキーは......あれ?」

気佐野(机に忘れてなかった?)


いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

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