第五話 「......なんだ?その......ビーワイ、って......」
これまでの人格事件......
亜美「ごめんね、せっかく待ってもらったのに......」
小雪「大丈夫です。それよりも、急ぎましょう!」
黒加(亜美と待ち合わせしていたんだっけ......?)
???(閉じ込められている......!? とにかく、ここから脱出しないと......!)
山田「なんだ?知らないのか?......
行方不明になっている被害者の弟が、あの大企業の御曹司なんだよ」
こんにちは、オロボ46です。
今回は再びある父親から始まります。
それでは、どうぞ。
(今は二時間目ぐらいだろうか......)
私は亜美が忘れていった連絡帳を見て思う。
もうすぐ、あの子は調理室に向かうことになる。
その事を思うだけで私の胸は締め付けられるのだ。
しかし、私は亜美のことを常に考えている。
なぜなら、亜美は私にとって......
「あのー、すみませーん」
ああ、うるさいな......
私はレジへと戻っていく。
「あの、これって亀山高校の新しい制服ですよね?」
青年が男子高校生の制服を見ながら訪ねてきた。
「あ、はい。確かにそうですが......」
「あ、やっぱりね」
青年はそう呟いて再び制服を見つめ直した。
......冷やかしっぽいな。
まったく、人が心配している時に、この青年は何を考えているんだ。
そう思っていた時、青年はどこかを見つめて呟き始めた。
「ああ、昔は学ランだったよなあ。
今はブレザーになっているよな。
なあ高次、何年前に変わったんだっけ?」
NEXT TO 祐介
(5年前ぐらいか?)
高次は僕の質問に答えた。
(それよりも、こんなところで道草食ってていいのか?)
「まあ、そう焦らずに行こうよ」
僕たちは病院に行く前に久しぶりの街を歩き回っていた。
やはり街を去った時からいろいろ変わっていて、
あったはずの店がいくつかが無くなって
新しい店や駐車場があちこちに立っていた。
ここの服屋にはほとんど来たことなかったが、
[青脳]と同じくほとんど変わっていない店のひとつだった。
「しかし、あの店主......
さっきから不機嫌だね」
(どうやら冷やかしに来ていたことを
見抜かれてしまったみたいだな......
あとそれから、俺と会話する時はもう少し周りを気にしてくれ......)
高次に言われて、僕は店主の顔を見た。
迷惑そうな表情していたので、そのまま店を立ち去った。
NEXT TO 大五郎
「他人に成り済ます能力?
うーむ、確かどこかにそんな資料が......少し待ってください」
俺は新人の暗井と共に資料室に来ていた。
「あ、あの......
どうして成り済ましの能力について調べているんですか?」
暗井は何をすればいいのか解らない様子で俺に尋ねた。
(こいつ......事件について何も知らないのか?)
俺が心の中で呟いていると
俺のBLUE-CPY、気佐野がまたもや頭の中で話しかけた。
(まあまあ、あたしが一から教えてあげるから......
教えるの、苦手でしょう......?)
(......)
(ふふっ、図星ね。
大ちゃんのそういう所、嫌いじゃないわ)
(その言い方はよせっていっているだろ......)
(ふふっ、わかったわ)
そう聞こえた後、俺の体の感覚はまたもや消えた。
「ああ、あったこれだ。あのー、大五郎警......」
資料室の管理の者が俺たちを見て固まっていた。
「だからね、別の何者かが成り済ましている可能性が......」
気佐野は暗井に説明している途中だった。
「......」「......」
「あ、あの......
この資料のここのページに書いてありますが.....」
「ああ、そうか。それを見せてくれないか?」
俺は体の主導権を気佐野から取り返し、管理の者から資料を受け取った。
「特別注意能力の中に他人に成り済ますことができる
能力が過去に一つあります。それはこの"幻を見せる能力"。
これなら他人から見ると別人に見せることができます」
幻を見せる能力か......
(懐かしいわね......あの子、結構可愛かったし......
今は何をしているのかしら......)
(......)
特別注意能力......
それは、BLUE-CPYが持つ特殊な能力の中でも
特に恐ろしい能力や、犯罪に悪用されやすい能力につけられる。
特別注意能力を持つ者に対して警察はマークの対象となっている。
むろん、その特別注意能力を持っていることや、
そのリストの一覧は非公開となっている。
世間に漏れると能力の持ち主の人生に影響し、
犯罪に走ったり、自殺を図る可能性があるからだ。
「あ、あの......警部補......」
暗井がぼそぼそと俺に話しかけてくる。
「......どうしたんだ?」
「気佐野警部補の話を聞いて思ったんですが......
他人に成り済ます能力ではなく、
他人を操る能力でも可能なのでは......?」
暗井の発言に管理の者は反応する。
「他人を操る能力......?
聞いたことはありませんが......まあ、探しておきます」
資料室から出た俺は、暗井に話しかけている。
「なあ、他人を操る能力って言っていたが、そんな能力が実際するのか?」
そんな能力なんて聞いたことない。
俺は暗井が根も歯もない事を言っているのかと思っていた。
「はあ......私の高校生の時の友人が最近BYが目覚めたって......
そいつの能力が操る能力なんですよ」
「......なんだ?その......ビーワイ、って......」
(BLUE-CPYの略称よ。
最近の若者で流行っているらしいわ)
暗井は俺の顔の様子を伺って、口を開いた。
「......教えてもらいましたか?」
人格事件対策課に配属された者で、
BLUE-CPUを持つ同僚や上司の人格の変化に
いちいち驚いたり、困惑している者はそう長くない。
そう考えたら、暗井はどちらかと言うと
比較的長く持つほうであろう......
ただ、上司に向かって"教えてもらったはないだろう......
「......とにかく、そいつとは連絡できるのか?」
「最近は連絡してないですが......あいつの家は知っています......」
ひとまず、そいつに会ってみるしかないな。
(この子、いつもの新人さんと違うわね)
(お前、ちょっと甘すぎないか?)
(そんなことないわ。とりあえず、行きましょう......?
この子のお友達の所へ......)
To be continued
山田「ぶはあ!うめえ!紅茶もう一杯!
影島「ここは居酒屋じゃないけど......」
いかがでしたか?
今回から登場していないキャラ二名による
話と関係ない会話を乗せてみました。
次回もお楽しみに!