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人格事件~もうひとりの私は血で錆びた刃物~  作者: オロボ46
二日目(土)
33/35

最終話「BLUE-CPYは......悪魔なんかじゃない」

これまでの......人格事件......


「本当に......どうして......誰もわかってくれないのかしら......こんなに楽しいことを......ね」

(仕方ないよ......)

「それでも危なかったわ。この男の姿を借りれなかったら......

(この人には......気の毒だけど......)

「でも......もう無理でしょうね。

小雪の宿主さんがあの男と逃げてしまったもの......」

(もう......すべて終わり......)

「ごめんね......亜美......」

(ううん、大丈夫だよ)

「本当はあなたは生きて欲しかった......でも......

あなたが決めたことですもの......それでも本当に......これでいいの?」

(うん、もうこれでいいの......ありがとう......ずっと側にいてくれて......)

「......わかったわ」


こんにちは、オロボ46です。

最終回は大五郎から始まります。

それでは、どうぞ。

 俺の......目の前で......暗井は......不気味に笑っていた......

こいつは......暗井......じゃない......!

「あなたは......死んでもいいわね......」

「......待って......くれ......」

「......? 何かしら?」

「お前は......なぜこんなことをするんだ......?」

「なぜ? 決まっているじゃない。

私は悪魔よ。だからこれが私の楽しみなの」

操られた......暗井は......怪しく......微笑んだ。

「あ......く......ま......?」

「そう、あなたにもいるでしょ? 恐ろしい能力を持った悪魔を......」

「違う......気佐野は......」

「もしかして手なずけている? 偉い人ね......

でも、私たちBLUE-CPYは狂った悪魔なのよ。

宿主にささやき、犯罪へと導く......」

「それは......断じて......」「違います!!」


 廃墟に......小雪の声が......響きわたった......

暗井の後ろに......小雪と......祐介が......




NEXT TO 小雪




「あら......亜美の親友さん......

待っていたわ......今から......面白いことを......」

「本当に......そんなことが面白いんですか......?」

「決まっているじゃない。BLUE-CPYは悪魔よ?

だから狂っていて......」

「それでは......私を刺してください」

「......!!」

「BLUE-CPYは狂っているんですよね......?

私も......あなたと同じ存在です。

BLUE-CPYが狂っているなら......私は恐怖を感じません」

「嘘よ......私がヘアゴムを退けようとした時......

あんなに怖がって......」

「それなら......なぜ私の命を取らなかったのですか......?」

「それは......あなたに......楽しいことを......」

「それなら......なぜ私を黒加にさせたんですか......?」

「......」

「私に楽しいことを見せるなら......私にさせないと意味がありません。

それに......考えたくないのですが......

もし......あなたが兎三郎のお姉さんを刺したとしたら......

なぜ命を奪わなかったんですか......?」

「やめて......」

「亜美......あなたは寝てないんですよね......?

今までのことを知っていて......ずっと......

あなたのBLUE-CPYと共に隠し続けていたんですよね......」

「いや......私は......」

「お願いします......私に......すべてを話してください......」

「あぁ......あぁ......」




 目の前の刑事は糸が切れたように倒れた。


ピーポーピーポー


 外から救急車の音が聞こえた。

「祐介さん......大五郎さんを......」

「もう......大丈夫かい?」

「はい......少し......二人にさせてください......」

「......わかった」

祐介さんは大五郎さんを背負って去って行った。


「ありがとう......小雪ちゃん......」

そばで倒れていた亜美が起き上がって私の顔を見た。

いつもの......亜美だった......

「すべてを......話すね......」


 うん......




NEXT TO 亜美




 私のお母さんは生まれた時に亡くなったの。

だからお父さんは一人で私を育ててくれた。


 だけど、私が大きくなってから気づいたの。

お父さんは、私のことしか考えてなくて......

もし私が悲しむと、お父さんは他人のせいにしてひどく恨んでいたの。

しかもBLUE-CPYのことを悪魔と思い込んでいた......

 それでもお父さんは私を大切にしてくれた。




 私のBLUE-CPUは......美咲(みさき)っていうんだけど......

美咲と初めて会ったのは小学生四年生の時だったの。

 学校の運動場で転んで血が出た時に......急に体が動かなくなったの。

その内に私の体が勝手に動いて、走り回った。

そして、頭の中に声が響いた。

その声の主が......美咲だったの。


 初めは美咲のことを怖がっていたけど......すぐに仲良くなった。

でも......美咲は私が血を流した時にしか起きない。

美咲から交代しようと思ったらすぐに変われるけど、

私が体を動かしているときの美咲は眠っているの。

私が美咲と話すのは......美咲が私の体を動かしていないといけなかった。

 私は自分を傷つけて、よく美咲と話していた。

BLUE-CPYを嫌っていたお父さんには内緒で......




 中学三年生の時、私は自分の部屋でこっそりハサミで自分を傷つけた。

いつものように美咲と話すためだった。

 だけど、美咲になってすぐにお父さんが部屋に入ってきた。

それも、酔っ払ってて......

お父さんは私の体を抱きしめていったの。

「父さんは......お前を守るぞ......

BLUE-CPYなんていう悪魔に......お前を渡してたまるか......」

その言葉を美咲は聞いてしまった。

 お父さんがお酒を飲みながら

ニュースのワイドショーを見ていたことは後になって知った。


 それ以来、美咲はBLUE-CPYが起こす事件が気になり始めた。

図書館で昔の事件を調べるようになった......

 やがて、美咲は奇妙な感情を持ち始めた。

私が美咲になった後、美咲は刃物を手に遊ぶようになって......

私との会話の話題も変わっていった。


 どんな血の流し方が気持ちいいのか......


 指の間接を切り取りたくなったり......


 腕をゴボウのように切り裂いたら

どんなに楽しいんだろう......って言ったり......


 私は、そんな美咲が怖くなって......

怪我をしないように生きて......美咲を眠らしたままにした。




 そして......私が兎三郎くんのお姉さんを刺す2日前......

この頃、お父さんの様子がおかしかった。

気になって夜中にお父さんの部屋を見てみると......


 死体があったの。

私が悲鳴を上げそうになると、後ろから誰かが私の口を塞いだ。

 後ろにいたのは......お父さんだった。

お父さんは私を抱きしめてすべて教えてくれた。

この人は私に対する......セクハラ発言をした。

それに怒ったお父さんは感情的に殺してしまった......

 私は......怖かった......

私も......いつかあんなことをするのか......


 何をすればいいのかわからなかった私は、

ついに自分を傷つけて美咲を起こしてしまった。

 ずっと寝たままにしていたのに......

美咲は少しも怒っていなかった。

 私がお父さんのことを話すと、美咲は「大丈夫」って言ってくれた。

「人を殺すことは怖いことじゃないの。とっても楽しいことよ」

それは狂った発想だってわかっていた。

だけど、もうどうでもいいって思っていた......

(お願い......私に......楽しいことを......教えて......)

私は......美咲に頼んだ。




 あの日......夜中に私は気づかれないように兎三郎くんに近づいて、

後ろから棒で殴った。

兎三郎くんがお姉さんと久しぶりに会うことを聞いていたから......

 兎三郎くんが気を失ったのを確認して

私はカッターナイフで自身を傷つけた。

 美咲は能力で兎三郎くんを操り、カッターナイフを持たせた。

誰か通行人を刺し殺す......それで十分のはずだった......


 だけど、刺した相手はこう呟いた。

「う......さ......ぶろ......う......?」

私は兎三郎くんのお姉さんだということに気がついた。

 そのまま殺そうとした美咲を止めて、

兎三郎くんを私のそばまで連れてきたあとに私は病院に連絡した。




 私は兎三郎くんを背負ってこの廃墟に訪れた。

兎三郎くんとよく訪れていた廃墟だった。

 気を失ったままの兎三郎くんをもう一度操って

水や食事をさせて眠らせた。


 その後に家に帰った時......

美咲はお父さんの部屋に入って死体を探した。

死体を見つけると、美咲は死体の首を包丁で切り落とした。

疑問に思った私が美咲に聞くと、

「廃墟にも彩りがあった方がいいでしょ?」

美咲はそう答えて、生首を抱えて再び廃墟へと走って行った。




 学校では美咲を起こさないようにしていた。

それが昨日、孤道くんに無理やり包丁を持たされて怪我をしてしまって......

怖くなった私はそのまま早退してしまった。

 ごめんね......あの時言えなくて......




 私と美咲はもう狂い続けようと思った。

もし、どうにもできなくなったら......自ら命を経とうと考えていた......

 だけど......小雪ちゃん......

今、あなたが私に訴えてくれて......ようやく気づいたの......

BLUE-CPYは......悪魔なんかじゃない。

美咲は......彼女なりに私の力になりたかったんだって......

もし、本当の悪魔なら小雪ちゃんを殺していたんだと思う......

 きっと......もうすぐ......警察がくると思う......

だけど、私は受け入れる......

もう命を捨てようなんて思わないよ......


 美咲......もう一人の私は血で錆びた刃物だった......


 小雪ちゃん......




 それを抜き取ってくれて......ありがとう......




To be continued

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