第三十二話「これが俺たちの職場だ」
これまでの人格事件......
祐介「もうここまで......だったりしてね」
高次(おい!! 弱音をはくな!!)
バンッ!!
大五郎「暗井......お前って奴は......」
高次(もし......操っている間......本人が動けないとしたら......?
もしかすると......警察官が倒れたことで亜美が起き上がり、
さらに近くの小雪が起き上がったとすると...)
祐介「......!!」
ぐさっ
廃田「ぎゃああ!!?」
亜美?「ねえ......亜美の親友の宿主さん......見てて......とっても楽しいことよ......」
こんにちは、オロボ46です。
今回は黒加から始まります。
それでは、どうぞ。
「黒加ちゃん!! 逃げるんだ!!」
祐介の声を聞いて俺は我に帰った。
「また......邪魔が入ったわね......」
亜美は立ち上がり、俺に近づいてきた。
「小雪の宿主さん......お願い......力を貸して......」
そう言いながら、亜美は別の方向に近づいていった。
ドンッ!!
知らない男が亜美に体当たりを噛ました。
亜美は床に倒れ、立ち上がろうとした。
「このっ!!」
後から来た大橋刑事がそれを押さえつけた。
「祐介!! 黒加を連れて逃げるんだ!!」
大橋刑事の大声に答えるように、何物かが俺の腕を掴んだ。
「......!? 祐介......!?」
「話は後だ!! 早く逃げよう!!」
俺は祐介に引っ張られながらその場を後にした。
「サンキュー、高次。黒加ちゃんの幻を出してくれて」
廃墟の中を駆け抜ける中、祐介は一人呟いていた。
確か......幻を見せるBLUE-CPYを持っていたんだっけ......
いや、今は考えている合間ではない。
とにかく......走らないと......
NEXT TO 大五郎
「やっと......おとなしくなったか......」
暗井と共に取り押さえた少女は先ほどまで抵抗していたが、
やがて気を失ってしまった。
(まさかこの子が......あんな恐ろしいことをしていたなんて......)
気佐野の呟きを聞いて、俺はそばに横たわる真っ赤な死体を見た。
廃田の顔は目を見開いたまま天井を見ていた。
(正確にはこの子のBLUE-CPYだが......まあ、祐介の証言が本当ならばな)
(そうね......それにしても......
暗井くんにとっての初めての事件が......こうなっちゃうなんて......)
俺は暗井を見た。
暗井は少女の腕を掴んだまま、うつ向いていた。
初めて拳銃を撃ち、さらに友人の死体を目の当たりにしたとなると
無理はないだろう。
「暗井......これが俺たちの職場だ。
お前はきっとこれからもこのような光景を見るだろう。
この光景を目に焼き付けているんだな......」
俺はそう言い放ち、背を向けてスマホを取り出した。
NEXT T
カチャン
(!! 大ちゃん!! 後ろ!!)
後ろの物音に気づいた気佐野が頭の中で叫んだ。
「!!?」
俺は反射的に後ろを振り向いた。
ぐさっ
「うがっ......!?」(うぐっ......!!)
腹に......ナイフが突き刺さって......いた......
その目の前に立って......いたのは......
「く............暗......井......?」
「本当に......どうして......誰もわかってくれないのかしら......」
目の前の......暗井は......女性のように......呟いていた......
「こんなに楽しいことを......ね。
それでも危なかったわ。この男の姿を借りれなかったら......
でも......もう無理でしょうね。
小雪の宿主さんがあの男と逃げてしまったもの......
ごめんね......亜美......
本当はあなたは生きて欲しかった......でも......
あなたが決めたことですもの......それでも本当に......これでいいの?
......わかったわ」
NEXT TO 祐介
「......わかった。それで小雪が救えるなら......」
廃墟の外で、僕の話を聞いた黒加ちゃんは
スペアのヘアゴムを取りだして髪をくくり、瞳を閉じた。
やがて、ゆっくりと瞳を開けた。
「......祐......介......さん......?」
黒加......いや、小雪ちゃんはその瞳で僕を見つめていた。
「小雪ちゃん......僕の話を......聞いてくれ」
亜美ちゃんには......BLUE-CPYがいたんだ......
それも......他人を操る能力を持っているんだ。
そして、これは辛いことだけど......
亜美ちゃんは人を殺した。
それも......黒加ちゃんの目の前で......
今、大五郎警部補が捕まえている。
一応救急車も呼んだよ。
だけど......高次はまだ何か引っ掛かるらしいんだ。
昨日、僕はこの廃墟を訪れた。
亜美ちゃんの恋人......兎三郎くんの行方を追ってね......
そこで僕は兎三郎くんに襲われた。
その目は正気ではなかった。まるで誰かに操られているように......
翌日、僕は喫茶店[青脳]で初めて亜美ちゃんとすれ違った。
その時、亜美ちゃんは僕を見て怯えていたんだ。
まるで何かを犯したように......
最初、亜美ちゃんとそのBLUE-CPYは小雪ちゃんのように
意識が分断されていると思っていた。
だけど、もしそうなら初対面の相手に対して怯えるのはおかしかった。
接点があるとすれば......
昨日の廃墟で兎三郎くんを操っていたならば僕の姿を見たはずだ。
しかし、能力を使えるのはBLUE-CPYだけ。
亜美ちゃんが僕のことを知っているなら、彼女は起きていたはずだ。
過去にこんな話を聞いたことがある。
BLUE-CPYを持った人物が犯罪を犯した時、
宿主の人格事件が犯したにも関わらず、
BLUE-CPYがかばって罪を背負ったという事件だった。
亜美ちゃん自身の人格が残っているなら......
すべてを知っているはずだ。
だけど、もし亜美ちゃんのBLUE-CPYが庇うと......
真実は変えられたものになってしまう。
本当にBLUE-CPYの狂気が生んだ犯行なのか......
それを僕は知りたいんだ。
それに、さっきから嫌な予感がするんだ......
「それを確かめるために、僕と一緒に来てくれないか?
もし、亜美ちゃんと会ったら......
君の言葉に特殊な能力を込める力を使ってほしい。
自分の感情を押さえて、誘導尋問にならないように......
君の力で、真相を聞き出して欲しいんだ......できるかい?」
僕は小雪ちゃんの目を見て言った。
小雪ちゃんは少し下を向いた後、決心したように顔を上げた。
「わかりました......私も......亜美の本当の気持ちを知りたいです......!!」
To be continued
亜美の父親「亜美......父さんは......お前の為なら......」
いかがでしたか?
次回もお楽しみに!