第三十話「さあ、鬼ごっこの始まりだ!!」
これまでの人格事件......ガシャン!!
亜美「あ......ああ......」
疾次「も......申し訳ありません!! すぐに手当てします!!」
小雪「本当にありがとうございました」
疾次「本当によろしいんですか......? 鯉のエサやりは......」
亜美?「......いいわ。これから行くところがあるから。
疾次さん、少し連れて行ってもらいたいところがあるけど、いいかしら?」
大五郎(あれは......!?)
気佐野(祐介くんの通学用バイク......!?)
大五郎「暗井!! 行くぞ!!」
暗井「はあ......でも飲んでいかないのですか......?」
大五郎「そんなもん後でいい!! 急ぐぞ!!」
高次(まず亜美は兎三郎のことを知っている。
廃墟で見つけたあの写真と今日の会話がそれを語っている。
そして......初対面の亜美が祐介を見て警戒していた理由が......廃墟で会ったならば......)
小雪「ぅ......」
亜美?「あの男がついてきたなら、あなたの宿主さんに楽しいことを
教えてあげられなかったものね......」
小雪「ぃ......ゃ......」
こんにちは、オロボ46です。
今回は祐介から始まります。
それでは、どうぞ。
ドン!! ドン!! ドン!!
(くそっ!! まだ開かないのか!!)
「今やっているよ!!」
廃墟の中、僕は扉に向かって体当たりしていた。
数分前、疾次さんの運転している車は廃墟の前で止まった。
昨日、僕が兎三郎くんに襲われた廃墟だった。
車が去った後に少し近づき過ぎたのが行けなかった。
亜美ちゃんに見つかり、小雪ちゃんを連れて逃げられてしまったんだ。
僕は二人を追って廃墟の中へと入って行った。
二人は部屋に入り、扉の鍵を閉めた。
僕は扉に耳を当てて中の様子を聞いていた。
「あの男がついてきたなら、あなたの宿主さんに楽しいことを
教えてあげられなかったものね......」
亜美......いや、亜美ちゃんのBLUE-CPYがそう呟いた時、高次が叫んだ。
(祐介!! 扉を壊すんだ!!)
カチャリ
扉から鍵の音がして僕は反射的に扉から離れた。
扉は少しだけ開いたと思うと黒いなにかが出てきた。
「......!!」
バンッ!!
僕は床に倒れた。
すぐそばの壁には銃弾の跡が煙を出して残っていた。
もう少し倒れるのが遅かったら心臓に命中していたのかもしれない......
開いた扉の前には、拳銃を持った警察官がいた。
(まさか......こいつも兎三郎のように......!?)
「......どうやら、彼女にとって僕は邪魔な存在だったみたいだね」
僕はそう呟いて足払いをかました。
彼女は油断しやすいのか、今回も引っ掛かってすっ転んだ。
(よし......このまま奴を引き継げるんだ。
絶対に見失わせるな、もし奴が祐介の姿を見失うと......)
「黒加ちゃんか小雪ちゃんに何をするかわからない......でしょ?
そんなことはさせないよ」
僕はそう小声で言って警察官から距離を取った。
警察官は立ち上がり、僕を追いかけて走り出した。
「さあ、鬼ごっこの始まりだ!!」
NEXT TO 大五郎
俺たちは警視庁に一旦戻り、車祐介の足取りを追っていた。
気佐野の行方を知る能力でなんとか追いかけていたが......
(......あ)
(......どうしたんだ!?)
(ここで祐介くんの行方が途切れているわ......)
(時間切れ......か......)
気佐野の能力はあくまでも数分前にいた者の行方しかわからない。
やはり車をとりに行った時間がロスになったようだ。
俺はその場に車を置いた。
そのそばには、交番があった。
「これは大橋警部補!! 久しぶりですな!!
警官の一人が失踪した事件で調べていたんですが、
ちょっと気になって一人残って調べているんですよ。
ところで、大橋警部補はどうしてここへ......?」
交番の中にいた別の部署の刑事が話しかけてきた。
「いや......ちょっとある人物を追いかけていましてね......
ところで、この辺りでバイクが通りましたか?」
俺は刑事に尋ねた。
「そういえば先ほど、高級そうな車と一緒にバイクが通って行きましたよ。
この先の廃墟に向かって行きましたが......」
「廃墟......?」
「ええ、この近くにあるらしいんですよ。
私も知らなかったんですが......
今日の朝に男が訪ねて来ていたんですよ。
この先の廃墟で撮影してもいいですかって......」
そう刑事が呟いた時、俺の後ろから暗井が話しかけてきた。
「あの......その人って......"廃田"って言ってませんでしたか......?」
「ん? 新入りか......?
確かにあいつはそんなことを言っていたな......
動画視聴サービスの投稿者らしいが......」
NEXT TO 黒加
「......ねえ、大丈夫かい?」
「......ッ!?」
パチン!!
俺は目の前にいた知らない男を叩いた。
「いててて......! ちょ、ちょっと待って!
僕は君を助けたんだよ!?」
「......助けた?」
俺が聞き返そうとした時、頭に頭痛が走った。
そういえば......なぜ俺はこんなところにいるんだ?
確か......朝に俺はヘアゴムを着けて小雪に......
そう考えていた時、ある光景がぼんやりと浮かんだ。
「......ごめんなさい。また邪魔が入ったわ」
目の前で亜美が俺に語りかけたと思うと、
棒のようなものをとりだした。
記憶はそこで途切れていた。
ただ、ぼんやりとしていながらも亜美の顔だけははっきりと覚えていた。
まさか......亜美が......?
「ねえ、大丈夫?」
目の前の男が俺の顔を覗きこんでいる。
「!! お前は誰だ!?」
「僕かい? 僕は怪しくないよ。
世界的有名動画投稿者、廃田さっ!! 君も一度は僕の動画を」「見てない」
俺は速攻に答えた。
「おかしいな......世界的は誇張しすぎたけど
知る人は知っているのに......」
廃田という男は一人でぶつぶつと呟いていた。
「それよりも、助けたってどういう意味なんだ?」
「あ! そうだった......
実は、さっきから警察官が誰かを追いかけ回しているんだよ。
拳銃を握りしめてね......」
「拳銃......!?」
「とにかく話は後にして......さっさとこの廃墟から出よう。
君と......あと......」
そういいながら、廃田はそばで倒れていた人を背負った。
「この子、いくらおこしても起きなかったんだよね......」
その人物が亜美だということに気づくのに時間はかからなかった。
To be continued
影島「大橋さん......何か用事があったはずだよね......
せっかく入れたのに......どうしようか......」
いかがでしたか?
次回もお楽しみに!!