第三話「右ポケットに何か入れていたっけ・・・・・・?」
これまでの人格事件......
影島「......あ、そうそう......この近くで女の人が刺されたってニュースがあったから帰り気をつけてね」
亜美「はむっ、いってきまーふ」
父親「いいか!包丁だけは絶対に持っちゃあ駄目だぞ!!」
影島「ごめん、おじさんは今はもう、探偵の仕事はしていないんだ」
少年「じいの嘘つき・・・・・・」
祐介「ねえ、話を勝手に聞いてて悪いんだけど・・・・・・その仕事、お兄さんに任せてくれないかい?」
こんにちは、オロボ46です。
今回は、ある警部補の話から始まります。
また、今回から見やすくしました。
それでは、どうぞ。
「ふう......」
オフィスのテーブルで、缶コーヒーを飲む。
砂糖を一切入れてないブラックコーヒーは俺の喉を通る。
(さて......この前から抱えている問題を解決しなければ......)
そう思っていると、部下が見慣れない男を連れて俺の前に現れた。
見慣れない男はいかにもやる気の無さそうな顔をしている。
「あの、大橋警部補......
こいつ、今日配属になった新人です。
数日前のあの事件の捜査から警部補と組んでもらいます」
「ほう」
「......」「......」「......」
沈黙が続く。
「おい!何ボーッとしているんだ!ちゃんと挨拶しろ!」
部下に促された男は俺に話しかける。
「あ、どうも......
今日、ここに配属となった暗井です......」
「こいつ、結構ボーッとするんですよ。
あまりよく解らないやつですが、ビシッと決めてくださいよ」
「......わかった」
どうビシッと決めるのかがよく解らなかったが、
とりあえず自己紹介といくか。
「俺は人格事件対策課の警部補、大橋 大五郎だ。
とりあえず、足手まといになるなよ」
人格事件対策課......
数々の犯罪の中でもBLUE-CPYによる犯罪に対抗して設立されている。
メンバーは全員BLUE-CPYを持つ者か、
BLUE-CPYについて専門の知識を持つ者ばかりだ。
俺はどちらかと言うと、前者にあたるだろう......
「はあ......」
暗井はやる気のない返事をした。
(また使えないやつが現れたな......)
そう心の中で呟いた時だった。
(そんなこと言わないで。
こういう子は内側に何かすごい物を持っているんだから)
頭の中にあいつの声が響いた。
そして、俺の体の感覚がふっと消えた。
「こんにちは、彼のBIUE-CPYの気佐野よ。
よろしくね、新人さん」
俺の口は気佐野によって女性のような柔らかい口調を発した。
部下はまたか、と言いたいような表情をしている。
そして、暗井は表情ひとつ変えず
「はあ......」
と一声だけ出した。
NEXT TO 祐介
「影島さん、いつもの覚えている?」
依頼主の少年が帰った後、僕は影島さんに聞いた。
「ああ、あれかい?今だそうか?」
「お願いするよ」
やがて、影島さんは一杯のコーヒーを入れる。
少量のミルクのみ入っている、ブラックに近いコーヒーだ。
「はい、影島こだわりブレンドコーヒー」
僕はコーヒーを口にし、舌に乗せる。
すぐには飲み込まず、その苦さを味わってから喉に流し込む。
「うーん、やっぱりこの味は変わらないな」
(ああ、そうだな)
味を感じ取った高次も一緒に呟いた。
(さて、祐介、
一度依頼の整理をしておこうかと思うんだが......)
「ああ、そうだね」
僕は手に持つカップを置き、あの少年の言っていたことを思い出す。
少年の兄の名前は「兎三郎」。
名字は残念ながら教えてもらえなかった
しかし、高次いわく、
なんとなく察することができるらしいから彼を信じることにしよう。
彼は[亀山高校]にかよう高校生で、
成績優秀、スポーツ万能、そして整えられた顔と、
まさに女の子が多く登場する作品の主人公がそのまま
現実にやって来たような第一印象だ。
影島さんに質問しようか......
「そういえば、[亀山高校]、て、
今、黒加ちゃんが通っているんだっけ?」
「そうだけど......あ、思い出した......」
「?」
「小雪ちゃんが友達二人をこの店に誘って来たんだよ」
小雪ちゃんは黒加ちゃんのおとなしいBLUE-CPYだ。
よく勘違いされるが、
男勝りで他人と距離を置く黒加ちゃんが本人で、
決して小雪ちゃんが本人の人格ではない
「その二人、男子と女子で恋人同士に見えたんだけど、
男子の方が確か......兎三郎......て言ってた気がするんだ」
(......さっそく情報が手に入れそうだな)
「ああ、わかっているよ、高次。
それで影島さん、その時の彼はどんな様子だった?」
「うん、普通に変わったところはないと思うけど......
二人が来たのはあの時だけだったからな......
ただ、スマホでなんかの映画を見ていたのはよく覚えているよ」
「どんな映画を見ていたのかは覚えている?」
「いや、どんな映画とかは聞いてなかったから
よく解らないな......」
「わかった、ありがとう」
さて、話を戻そう。
彼が様子がおかしくなったのは、先週からだ。
影島さんの話なら、恐らく彼女ができた頃だから
生活が変わってもおかしくはないだろう。
ただ、出かける時はいつもこう言っていた、
「話題のスポットに行ってくる」と。
「話題のスポット......確か山奥の廃墟か?」
「知ってるの?影島さん?
「いや、二人が店でそんなこと言ってたから......」
「なるほど......」
「私も小雪ちゃんに聞いてみるよ。」
「ありがとう、影島さん」
そうお礼を言って、僕は再びコーヒーを口にする。
とりあえず、今後の予定は......
まずはなんとかして被害者の姉に話を聞いてから、
例の廃墟に行ってみよう。
僕はコーヒーを飲み尽くして、代金を置いて[青脳]の扉を開けた
カランカラーン
NEXT TO ???
「う、うーん......」
僕は暗闇の中で目覚めた。
真っ暗で何も見えない......
(そういえば、どうして僕はここに......?)
確か......僕は姉さんを迎えに行こうと向かいに行って......
その途中に背中に痛みを感じて......気を失った......ってことか?
(それにしても暗いな......
そうだ、スマホを持ってきていたはずだ)
そう思った僕は、ズボンの右のポケットに右手を突っ込む。
(いや、左ポケットだったな......いてっ!)
右手に痛みを感じた。
(右ポケットに何か入れていたっけ......?)
ひとまず左手を左ポケットに突っ込み、スマホを探した。
スマホはなかったが、
代わりにペンのような物があった。
(この形......)
ペンについていたスイッチらしきものを押すと
ペンのキャップから光が飛び出した。
(僕のスマホは......
そうだ、さっきの右ポケットにあったものを取り出してみよう)
僕は右ポケットに入っていた物を取り出し、
ペンライトでそれを取り出す。
がしゃん
そして、慌てて床に投げ捨てた。
心を落ち着かせてから床に落ちた物をスマホで照らす。
それはカッターだった。
刃が赤く錆び付いている。
まるで、腹の肉に差し込んだ痕のように......
To be continued
いかがですか?
今回の形式に不評がなければ「化け物バックパッカー」の方でもこれで行きたいと思います。
次回もお楽しみに!