第二十九話「ここで......よろしいんですか?」
これまでの人格事件......
俺の中には小雪というBLUE-CPYがいる。
ただ、俺と彼女は互いに会話することはできず、
それぞれの意思で人格を変えることができない。
俺の場合、人格を交代するときはヘアゴムを使っている。
祐介「いや、今はいらないんだ」
影島「え? でもさっきコーヒー飲みに来たって......」
祐介「いいから、今は急がないといけないんだ」
大五郎「暗井......これはどういうことだ?」
暗井「警部補......知らないんですか?今日は水族館でイベントがあるんですが......」
大五郎「それと[青脳]がどう関係があるんだ?」
暗井「すぐ近くにありますが......」
ガシャン!!
亜美「あ......ああ......」
疾次「も......申し訳ありません!! すぐに手当てします!!」
高次(あの表情はただヒステリックに叫んだ顔ではない......)
祐介「つまり、彼女にあれがいるということだね」
こんにちは、オロボ46です。
今回は祐介から始まります。
それでは、どうぞ。
「本当にありがとうございました」
イヤフォンから小雪ちゃんの声が聞こえる。
窓の中にはもう人影はいなかった。
「本当によろしいんですか......? 鯉のエサやりは......」
失態をさらしてしまった疾次さんが力なく聞いてきた。
「......いいわ。これから行くところがあるから。
疾次さん、少し連れて行ってもらいたいところがあるけど、いいかしら?」
亜美ちゃんの声はまるで別人の声のようだった。
「わかりました。じい、この二人を車で送ってあげて」
「かしこまりました」
その後、小雪ちゃんと亜美ちゃん、そして疾次さんの声は聞こえなくなった。
「もしもし、もう二人は行ったかい?」
僕はイヤフォンを外し、スマホに向かって話しかけた。
「......あ、はい。じいが送って行きましたが......」
「なるほど。僕も後を追ってみるよ」
「わかりました......ところで、まだ兄は見つかっていないんですか?」
「うん、でもお兄さんが居そうな目星はついているよ」
廃墟で見かけたことはあえて黙っていた。
「それじゃあ門は疾次さんが行った後も開けておいてね」
そういって僕はスマホの電話を切った。
僕は兎佐々木邸の庭の中、疾次さんが運転する車をバイクで追っていた。
(なあ、祐介......あの亜美っていう子だが......)
「亜美ちゃんがどうしたの?」
(少し考えたんだ。
もし彼女......もしくはそのBLUE-CPYが犯人だとしたら......)
「お? ひらめいたのかい?」
(まず亜美は兎三郎のことを知っている。
廃墟で見つけたあの写真と今日の会話がそれを語っている。
そして......初対面の亜美が祐介を見て警戒していた理由が......
廃墟で会ったならば......)
「なるほど......あの時の兎三郎くんがBLUE-CPYの能力で操られていれば......
その持ち主は僕を目撃しているはずだね」
(今はこの二つしか思い付かない。
だが、もし亜美のBLUE-CPYが犯人だとすれば......)
NEXT TO 大五郎
(どうも今日はお忙しいようね......)
喫茶店[青脳]の店内で忙しく動く影島をみて
気佐野は頭の中で呟いた。
(参ったな......せっかくこの列に並んだのに......)
俺と暗井はカウンターの席で飲み物を待っていた。
「あ......あの......影島さ......」
暗井が空気も詠まずに話しかけようとするのを俺が制止する。
「まったく......小雪がいれば話しかけられたのだが......
どこに行っているんだ......?」
そう呟きながら、後ろを振り向いた時だった。
窓の外で高級そうな車が横切った。
その後に見覚えのあるバイクが見えた。
(あれは......!?)
(祐介くんの通学用バイク......!?)
あいつが通学用に使っていたバイクだ......!!
あの印もあるから間違いない!!
いまだに愛用していたってことか......!!
「すみません、お待たせしま......」
「暗井!! 行くぞ!!」
俺は席から立ち上がった。
「はあ......でも飲んでいかないのですか......?」
「そんなもん後でいい!! 急ぐぞ!!」
俺は[青脳]から立ち去った。
カランカラーン
徒歩である俺たちがあのバイクに追い付けるはずはない。
しかし、気佐野の能力を使えば......
行き先を知ることはできる......!!
その後に車で追いかければ......
NEXT TO 小雪
交番を通り越して、車は街はずれの廃墟の前で止まった。
「ここで......よろしいんですか?」
疾次さんは戸惑いながら言った。
「ええ、結構よ。帰りはひとりで帰るから」
亜美はさっきから変だった。
ずいぶん大人びた言葉づかいをして、雰囲気すら亜美とは違っていた。
もしかして......亜美の中にBLUE-CPYが......?
でもそれならばどうして隠していたんだろう......
私自信がBLUE-CPYでもあるけど......
疾次さんが車で帰った後、私はふと視線が気になった。
亜美からでもない......誰かの視線が......
「......ッ!!」
私は後ろを振り返った。
誰かが後ろからつけられているような気がしたから......
「黒......小雪さん、急ぐのよ!」
そう言って亜美は私の腕を掴んで走り出した。
目の前の廃墟の入り口に向かって......
私たちは廃墟の部屋の中にいた。
正確には亜美に連れてこられたのだけど......
「あぶなかったわね......もしあの男がついてきたのなら......」
亜美はそう呟いていた。
私は、さっきから気になっていたことを聞く決心をした。
「あの......あなたは......本当に亜美......なんですか......?」
亜美は......私の問を聞いてこちらを振り向いた。
「ええ、違うわ。亜美の親友さん」
そういって亜美......のBLUE-CPYは......
「ぅ......」
私の......髪を掴んで......
「あの男がついてきたなら、あなたの宿主さんに楽しいことを
教えてあげられなかったものね......」
私が......起きていられる......ヘアゴムを......
「ぃ......ゃ......」
「待っててね。あなたと宿主さんに悪魔らしいこと、してあげる」
......ぬ..... .い.. ....て.... ..
わ.. . ...わ. ... ..わた.... ..お.. ....わ.. ....お.. ....俺......は.... ..
ドンドンドン!!
「......ごめんなさい。また邪魔が入ったわ」
あ.. ....みが......俺の......前で......
そう......呟いて......
ゴンッ
To be continued
いかがでしたか?
補足しますと......
黒化はヘアゴムを着けることで小雪の人格になり、
それを抜くと黒化に戻ります。
よって、最後の俺と言った人格は......?
......大五郎が言っていたあの印はもう少し後になります。
暑井「うおおおおお!!」
野球部員A「部活もあいつは燃えているな......」
野球部員B「二日目で未だに出番がないからじゃないか?」
野球部員C「もうあいつ、茶番担当でよくね?」
ようやく終盤突入です。
次回もお楽しみに!