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人格事件~もうひとりの私は血で錆びた刃物~  作者: オロボ46
一日目(金)
2/35

第二話「じいの嘘つき・・・・・・」

これまでの人格事件......


祐介「それよりも高次、朝食を食べたら[青脳]に行かないかい?」

高次(まあ別にいいが......事務所を探しに行かなくていいのか?)


影島「あれ、小雪ちゃん?珍しいね、いつも黒加ちゃんで登校しているのに」

小雪「すみません......今日はちょっと黒加に頼んだもので......」

影島「そうなんだ。あ、そうそう......この近くで女の人が刺されたってニュースがあったから......」


祐介「さて、そろそろ行くか」

高次(・・・・・・ああ)



こんにちは、オロボ46です。

今回はある父親から始まります。

それでは、どうぞ。


「なあ、今日は......調理実習......だったろ?」

 私は急いで服を着替えている娘に扉ごしに話しかける。


「そうだけど、それがどうしたの?」

「......ケガ......するなよ?」

「それだけ?」

「いや、だって......調理実習って、危険だろ?

もしやけどなんかしたら......」

私がいい終わらない内に娘の亜美(あみ)は扉を開けて

制服姿でリビングに向かって走って行った。


 リビングには私が用意した朝食が並んである。

「はむっ、いってきまーふ」

亜美はパンを一枚だけ口にくわえて玄関へと向かった。

「いいか!包丁だけは絶対に持っちゃあ駄目だぞ!!」

私は亜美に向かって叫んだ。

亜美は頷いて玄関の扉を開いた。




 私の妻は亜美を産んですぐに他界してしまった。

それ以来、私は一人で亜美を育ててきた。

 亜美は明るくて、素直で、友達思いの性格に育った。

 あの子が学校に行っている間、

私はあの子の無事を祈りながら服屋の店主として仕事する。


 あの子が、車に跳ねられないか。

 あの子が、学校の悪ガキにいじめられていないか。

 あの子が、何者かに刺されないか。


 私はそのことを心配しながら、レジを打つのだった。


 亜美......何があっても、父さんが守ってみせる。




NEXT TO 影島




カランカラーン


 店を開けてから少し経った後、

入り口に取り付けているベルがなった。


 入ってきたのは、小学生の男の子だ。

「いらっしゃい」

私は男の子に挨拶した。

 今日は恐らく学校があるはずだ。

見かけない顔だが、きっと何か訳があるのだろう。


 私は様子を見る。

男の子は席に座らずにオロオロしていた。

「とりあえず、座りなよ。

さすがに奢ることはできないけど、座るだけなら大丈夫だから」

私がそう言うと、男の子はカウンターの席に座った。


 男の子はポケットからひとつの封筒を取り出した。

そして、口を開いた。

「あの......これ......」

「......?これかい?」

私は封筒の中を覗いた。


......十万円............


「あの......僕のおこづかいだけど......」

「おこづかい!!?」

私の声はうわずった。




 私はかつて、私立探偵だった。

この喫茶店[青脳]を営みながら依頼を受けていた。

 しかし、数年前から外の紫外線を浴びると熱が出るようになった。

当時は夜間に行動すれば大丈夫と思ったが、

それ以来、依頼がほとんど来なくなった。

 そのため私は探偵の仕事を止め、

[青脳]の店主としての仕事に専念している。




 実際、その子の持っている金額は一人の探偵を雇うには十分だった。


 しかし、それを子供が持っているというのは......




NEXT TO 祐介




カランカラーン


「影島さん、久しぶり!!」

 僕は喫茶店『青脳』の扉を開けた。


「......あ、祐介くん!?久しぶり!!」

 [青脳]の店主、影島さんは子供と何か話していた。

(祐介......あの時の小学生じゃないか?)

「ん?そうかい?......あ、本当だ」

影島さんと話していた子供はさっき高次が助けた小学生だった。


「そこの席に座ってて。ちょっと話しているから」

 そう言って影島さんは小学生と話を続いた。

僕は横で二人の話を聞いた。




 ざっと説明すると、こうだ。


 少年には高校生の兄と社会人の姉がいる。

数日前、姉は久しぶりにこの町に帰ってきた。

 そこで、兄は姉を迎えに行くことになった。

しかし、姉は待ち合わせ場所に向かう途中に

何者かに刃物で刺されてしまった。




(そういえばニュースでやってたな......)

「確かこの近くだっけ?」

(ああ、そうだ。まあ、ニュースで少し取り上げらたぐらいだが)




 幸い、姉は命をとりとめた......が、

姉を迎えに行った兄の行方は解らなくなった。

 姉の証言によると、犯人の顔は兄に()()()()だった。

 姉はそんなはずはないと思ったが、確かにはっきりと兄の顔だった。

末っ子の少年は信じなかったが、最近の兄の様子はおかしいらしい。

 そこで、兄の行方を探してもらうために

影島さんの所に来たわけだ。




「ごめん、おじさんは今はもう、探偵の仕事はしていないんだ」

影島さんは小学生の少年に謝った。

「じいの嘘つき......」

少年は下にうつむき、呟いている

(じい......)

じい......?

(......なるほど、

おこづかい十万円の理由が少しわかったような気がするな)

「......地道に貯めたんじゃないのか?」

(そんなに貯めて一体何買うつもりなんだ?

恐らくあのおこづかいが一回分の......

それよりも、乗っかったらいいんじゃないのか?)

「それもそうだな」

 僕は少年に向かって話しかけるとしよう。


「ねえ、話を勝手に聞いてて悪いんだけど......

その仕事、お兄さんに任せてくれないかい?」




NEXT TO 小雪 




「小雪ちゃん!ごめん!遅れちゃった!!」

 亜美が息を切らしながら走ってきた。


「いいえ......大丈夫です......

私も今さっきここに来たばかりですから......」

「......本当?」

「......」「......」


くすっ


 私たち二人は互いの顔を見て笑った。

......やっぱり、わかっちゃうのかな

「あ!それよりも急がなくっちゃ!!

ごめんね、せっかく待ってもらったのに......」

「大丈夫です。それよりも、急ぎましょう!」

私たちは学校に向かって走り出した。




To be continued

いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

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