第十六話「父さんはお前の味方だよ......」
これまでの人格人格......
青崎「それがもう目の前でねえ......探索が終わったらそっちに行くから。うん、それじゃあ」
亜美の父親「あのクソガキ......」
黒加「そんな訳で買えたからもう帰るぞ......他に何か買うものはあるか?」
影島「いや、いいよ。あとは週末に買うから」
暗井「いえ......ただ、私は喫茶店のコーヒーが好きなので......」
大五郎「......どこで飲んでいるんだ?」
暗井「青脳ですが......」
こんにちは、オロボ46です。
今回は亜美の父親から始まります。
それでは、どうぞ。
結局、あいつは約束の時刻に現れなかった。
あいつは私の友人でありながらファッションデザイナーでもある。
今日は新しい服のデザインで相談を受けることになったが、
指定の時間と待ち合わせ場所に来ても来なかった。
ただ、私はその理由を知っている。
ある理由で知っていながらも待ち合わせ場所に向かったのだった。
「これで亜美が助かるなら......」
私は汚れた手を見て呟いた。
「......!! 亜美......!?」
家に帰った私は亜美の手を見て青ざめた。
家に帰っていた亜美の指が包帯で巻かれていたのだ......
「亜美! その......傷は......?」
私は震える指で包帯を指した。
「これ? 何でもない......」
亜美はポソリと呟いて包帯を見た。
「まさか......包丁を......!?」
私の問いに亜美はコクリと頷いた。
「悪ガキだな......! 悪ガキが亜美にこんなことを......!」
私は亜美の手を掴む。
「違うの! これは私の不注意で......」
亜美の言葉に、私は涙を流した。
亜美は本当にいい子だ。
それ故に、悪ガキであっても庇おうとする。
私は亜美を抱きしめた。
「亜美......心配するな......父さんはお前の味方だよ......」
抱きしめられた亜美はただ震えていた。
きっと私の思いが通じたのであろう。
こんなにかわいそうな亜美を傷つける奴は悪魔だけではない。
ヘラヘラと生き、罪悪感も後悔もしらない悪ガキどもまで
繊細な亜美の心を引き裂こうとする。
亜美には指一本触れさせないぞ......
まずは警察に連絡だ。
残念ながら亜美のケガに警察は取り合ってくれない。
ただ、くそガキの悪魔による犯罪に取り合ってくれる所が
少しは脳があることがわかる。
亜美を傷つけた悪ガキは......私の手で裁くとしよう......
NEXT TO 影島
カランカラーン
私が食器を洗っていると、黒加ちゃんが帰ってきた。
「黒加ちゃん、お帰り」
「......」
黒加ちゃんは何も言わずにレジ袋をドサリと置いて
部屋へと向かっていった。
しばらくして、髪を止めた小雪ちゃんが出てきた。
着替えも済ましており、胸元のイルカのペンダントが光っている。
「小雪ちゃん、今日は人が少ないから大丈夫だよ」
人が多くなってきた時はいつも小雪ちゃんに手伝ってもらっている。
「そうなんですか......」
そう小雪ちゃんが話している時......
カランカラーン
新たなお客が現れた。
NEXT TO 大五郎
「ここが私のいつも通っている喫茶店ですが......」
暗井がボソボソと説明する。
「......俺も来ているよ」
「はあ......」
暗井はボソッと返事した。
「あれ? 暗井くんが大橋さんと来るなんて珍しいね」
店主の影島はこちらを見ると手を動かし始めた。
「暗井くんはミルクティーで、
大橋さんがブラックコーヒーですよね?」
「はあ......」
「俺も頼む」
そう言いながら俺たちはカウンターに座った。
「あの......影島さん......?
ミルクティーの方、やらせてもらっていいでしょうか?」
影島の姪のBLUE-CPU、小雪が影島に話しかける。
決してでしゃばる話し方ではなく、
暗井のようにボソボソと聞き取りにくい声ではない、
どこか魅力のある話し方だ。
「うーん、暗井くん、小雪ちゃんにさせてもいいかい?」
「はあ......できれば......
小雪さんのミルクティーの方が美味しいので......」
「......俺は影島に任せる。気佐野がうるさいからな」
「......というわけで小雪ちゃん、頼んだよ」
「はい......任せてください......」
(小雪ちゃんは本当に偉いわね......)
気佐野が頭の中で話しかけてくる。
(......それがどうしたんだ?)
(あの子は......自分に秘められている力を悪用せず、
それを抱えているのに他人と接しようとしているわ......)
(油断するな。時が変われば考え方も変わる......
あいつは特別注意能力持ちだからな......)
(ええ......覚悟はしているわ)
黒加という少女のBLUE-CPY、小雪は
{言霊}の効果を上げる能力を持つ。
人の言葉には力があるという話を聞いたことがあるが、
小雪の場合はその力を強くすることができ、
聞いた人間への影響力が強い。
例えば、元気付けるように声をかける時にその能力を使うと、
常人に話しかけてもらうよりも不安が消える。
しかし、この能力はとても危険な可能性を秘めている。
もしこの能力で罵倒などをすると、聞いた人間への精神的ダメージも大きい。
最悪の場合、自殺へ導くことになる。
その為、特別注意能力の中でも
最も恐ろしい効果を持つ能力として認識されている。
小雪はこちらの飲む姿をじっと見ている。
その瞳には子供のようなおとなしい心が写っている。
俺は上の命令で小雪の監視を含めてこの[青脳]に通っている。
「なるほど......大橋さんの元に配属になったのか.....結構厳しいよ?」
影島は暗井と会話をしていた。
「......本人がここにいるんだが?」
「ああ、すみません。はははは」
影島は冗談の様に笑った。
プルルル
(あら......今度は部下から電話よ?)
気佐野に言われて電話に出た。
「......わかった。ただ、俺に行かせてくれ。
ちょっと気になることがあってな......ああ、すまないな」
俺は電話を切ると椅子から立ち、暗井に命令した。
「暗井、その一杯を飲んだら仕事するぞ」
「はあ......」
To be continued
警官A「ここは病院じゃないんだ! ただ、包帯と消毒薬はくれてやる......!」
高次(......祐介の読み通りだな)
祐介「ツンデレ属性を利用しただけだよ」
いかがでしたか?
次回もお楽しみに!