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人格事件~もうひとりの私は血で錆びた刃物~  作者: オロボ46
一日目(金)
14/35

第十四話 「なあなあ、明日の休日さあ......」

これまでの人格事件......


黒加(小雪......俺に言えないことなのか?)


小雪(もしかして、私の隠しごとに気づいて......)


資料室の管理の者「特別注意能力の中に他人に成り済ますことができる能力が過去に一つあります」


尾日理「俺じゃない!!俺じゃないんだああ!!」


気佐野「そんなに緊張しなくていいのよ。もっと肩の力を抜いて......」


兎三郎「う......うふふふ......」


高次(とにかく、今の内に帰ったほうが良さそうだ......)

祐介「......いや、もう少し探索した方が良さそうだ」


こんにちは、オロボ46です。

今回は黒加から始まります。

それでは、どうぞ。

"○月△日(木)15:45

今まで隠していてすみませんでした......"

小雪からのメッセージはここから始まっていた。


 小雪は、親友の亜美から相談を受ける約束をしていたこと、

朝は遅刻しそうになって相談できなかったこと、

調理実習の時に亜美が少しケガしただけで授業を抜け出してしまったこと、

勝手に言ってはいけないと思って黒加に話さなかったこと、

そして、相談内容である数日前の殺人未遂事件と彼氏との関わり......

すべてこの連絡用のメモ張に書いてあった。


"黒加がショックを受けたことを保険室で知るまで

そこまで心配してくれたなんて気づきませんでした。

本当にごめんなさい......

            小雪"


(......別にたいしたことなかったんだがな)

メモ張を見た俺はあの時のことを思い出した。

 あの時、俺は疲れきった体で走り抜いたつもりだった。

しかし、その直後の一言で撃ち抜かれたような衝動に落ちた。

「......あ!! ごめん!! 黒加さん!! タイム見てなかった!!」


(これだけでショックを受けるなんて......)

今となってはそのことがショックだった。

 確かに小雪のことでいろいろ悩んでいたのは事実だった。

しかし、それが直接あの時と繋がったわけではなかった。

(それでも心配しているんだよな......小雪)

やっぱり、俺は小雪のことが嫌いじゃない。

 亜美からの手紙......早く見せないとな。




「なあなあ、明日の休日さあ......」

俺が帰ろうとした時、暑井の声が聞こえて警戒した。


(あいつに捕まったら最後だ......)

学校にいる時間が30分延長される......

今日は用事があるので長話に付き合っている時間はなかった。

なんて思っていたら、

「あ! おーい、黒加~!お前、明日の休日どうするんだ?」

階段の前で捕まっちまった......


「......」

「おい、どうしたんだよ? 元気ないなあ......

あ、そういえば五時間目......」

思わず突き飛ばしたくなった時、暑井が前に倒れた。

「おい、俺の女に手を出すんじゃねえ」

暑井を後ろから押し倒したのは孤道だった。

とっくに体育の授業は終わっているのに、体操服姿だ。

「はあ? 俺はただ、明日の休日について何するか......

そういえばお前! 五時間目からどこ行っていたんだよ!?」

「俺はお前のような暇人とは違って忙しいんだよ......」

今まさに喧嘩が始まるところだったが、俺は無視して階段を降りた。


 そういえば、明日は土曜日だったな......




NEXT TO 祐介




「これは......影島さんが言っていた連れの子かな?」

僕は写真立ての中の女子を見つめて呟く。


(撮っておいたほうがいいだろう......)

「君もそう思うよね」

そう言いながら僕はスマホを取りだし、写真を撮った。

「それにしても、まるで子供の秘密基地だね」

(なるほど、少しずつわかってきたぞ)

「お? 高次、何か閃いたかい?」

(話題のスポット......つまり彼はいつもここに来ていた......

一人だけじゃない、きっと彼は連れの女子と共に......)


 その時、後ろから殺意が近づいていることに気がついた。

「うおっと!?」

 廃墟に再び鉄の音が響き渡る。 

間一髪避けることが出来たようだ。


「触るな......触るな......」

兎三郎くんはバールを握りしめたまま唸っている。

「ああ、ごめんごめん。これで失礼させてもらうよ」

僕は部屋から退散すると、兎三郎くんも跡を追いかけてくる。

 まったく......しつこい男は彼女に嫌われるよ......?




NEXT TO 大五郎




 取り調べを終えた俺は、事務所に戻っていた。

缶コーヒーを買うための小銭を確かめる。


「あの......警部補......」

暗井がボソボソと話しかける。

「死体の鑑定が終わるまでしばらく待機だと言っただろう......」

「いえ......あの......トイレの場所がわからなくて......」

「......他の奴に聞け」

俺は適当にあしらった。

(大ちゃん、そろそろ証言をもう一度確認して起きましょう?)

(ああ......そうだな......)

俺は取調室で聞いた尾日理の話を思い出した。




 見なかったふりをすることにした尾日理は

トイレがまだ直っていないと嘘をついた。

もし入られたら死臭で見つかってしまうからだ。

 上司が見に行こうとしてもなんとか誤魔化すものの、

尾日理の精神は蝕んでいた。


 もし、あの死体が見つかったら......

そう思うとハンバーガーさえ一口しか残らなかった。

 そして、刑事の格好をした男......暗井に

ハンバーガーのケチャップを指摘されて

ついに精神は限界に達した......


 ちなみに、あのナイフは倉庫から持ち出したそうだ。




「......ふう」

俺は自販機の前で缶コーヒーを飲んで一息つく。


「あれ......警部補......?」

無事にトイレを見つけたと思われる暗井が話しかけてくる。

「......缶コーヒー派なんですか?」

「ああ、それがどうしたんだ?」

「いえ......ただ、私は喫茶店のコーヒーが好きなので......」

「......どこで飲んでいるんだ?」

「青脳ですが......」

暗井の言葉に思わず吹き出しそうになった。


(青脳ね......あそこのコーヒー、美味しいのよね......)

気佐野が頭の中で呟く。

 喫茶店[青脳]は俺も知っている。

あそこの店主の(めい)は、マーク対象の[特別注意能力]持ちだからだ......




To be continued

影島「はっ、ハックション!」

山田「誰かに噂されている予感のくしゃみだな......」


いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

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