ちがうよ、友達だよ
どうやらシルフの駆け落ちした幼馴染が、この二人であるらしい。
ただ、この男性の方のクロトという人物は、シルフが苦手なようだ。
そこで女性の方、サナと呼ばれた人物が私達の方に近づいてきて、
「……お久しぶりです。どうしてこちらにシルフさ……が?」
「いや、駆け落ちしたというから、面白半部で会いに来たんだ」
「……シルフさ……お願いします。私達の事は、私達の両親には秘密にしておいていただけないでしょうか?」
「そうだな、どうしようか。リズはどうすればいいと思う?」
何故か私にシルフが問いかける。
しかも窓越しで、サナという女性が私に何かを訴えかけるようにじっと見つめている。
これで、連れ戻して両親の言うとおりにしろというのも問題がある気がした。
だから私は、
「シルフ、黙っていてあげて」
「リズがそう言うならそうするよ。クロトも怯えていないで、そういう話だから」
シルフが、後ろで青くなるながらぶつぶつ呟いていたクロトに告げる。
クロトは、それを聞いて凍り付いたように固まった。
次にシルフの顔をまじまじと見てから、私を見る。そして、
「そちらにいる女性は、シルフさ……の恋人ですか?」
「ちがうよ、友達だよ」
「……そう、ですか」
何かを言いたそうにクロトは私を見て、それ以上何も言わなかった。
けれど二人はどことなく安堵したようだ。
と、そこでシルフが笑顔のまま、
「ただ黙っている代わりに、ここでリズと一緒にケーキ作りをして販売して欲しいんだ。いいかな?」
「「「え?」」」
シルフ以外の私を含めた三人が、声を上げたのだった。
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