チョコレート
こうして私は、シルフの手を引き村の食品のお店に向かう事にした。
サナ達に声をかけて、チョコレートを買ってくると伝えると、ヘレンがついてきたがったが、シルフが、
「リズは俺が守るから大丈夫だよ」
「……リズ様を人けのない場所に連れこむような事をしたら……」
怒ったようにヘレンが言うも、私はシルフとは“友達”だから大丈夫だよと説得する。
その言葉にヘレンは何か言いたそうに私を見ていて、サナとクロトもじっと私達を見ていたが、それ以上は私は何も言われなかった。
こうして私とシルフは一緒に買い物に行こうと歩きだす。
今日は白い綿菓子のような雲が美味しそうに浮かぶ青空だった。
いい天気だと思う。
ただその分日差しが少し強く感じる。
しばらくは涼しい風を感じながら私はシルフと一緒に歩いた。
周りには畑や果樹園が広がっており、長閑な田舎町といった風景が広がっている。
おかげで背の高い草や木の中に隠れているのか人の姿を見かけない。
だからだろう、ここにいるのは私とシルフの二人きりのように感じて、上手く言えないけれど、こう……シルフを意識してしまうような……。
そう私が思っているとそこでシルフが、
「いい天気だ」
「そ、そうね」
「確か町でリズにあった時も、こんな天気だった」
「そうよね、初めて会った時はそうだった。たまたま、路地から出てきたシルフにぶつかって、それが初めての出会いだったわよね」
そういいながら町にこっそり出た時に出会ったのを思い出す。
驚いたシルフと、それから服を汚してしまったからと言って、新しいスカートを買ってくれたのだ。
この服が君に似合うよねと言われた気がする。
それから話しているうちに意気投合して、こうやって今は一緒に居るのだ。
“友達”。
それも異性の。
ヘレンはそれを気にしているけれど、私はシルフがそう言った人間ではないのを知っている。
それに一緒に居るのが楽しい。
そう思っているとそこでシルフが、
「実はあそこであったのが、俺にとっては初めてじゃなかった、と言ったらどうする?」
そこでシルフがそんな事を言い出した。
何を突然と思いながら私は、
「時々抜けだしていたから、どこかで会っていたのかしら?」
「……一度だけだったから」
「? そうなの?」
「そうなんだ。だから覚えていないだろうな」
「いつ?」
「……よし、リズに思い出してもらおう。がんばれ!」
「え! えっと、うーん、うーん」
私は必死になって思い出そうとするが思い出せない。
するとそこで、
「村の商店街が見えてきたね。ほら」
「あ、本当だ。ここ一帯は色々なお店があるのね。宿もあるし」
そう言って私は周りを見る。
ここだけは所狭しと建物が並んでいてお店を開いている。
その内食料品のお店もいくつかあったが、一番品物を取り合ったっているのが村長のお店だそうだ。
そこに向かい、チョコレートが何処か探していく。
製菓用の物はなく、普通の板状のチョコレートが、ミルクとダークとホワイトの三種類があった。
その中で今回はミルクチョコレートに。
カカオの量がそこそこの方が美味しい気がするのだ。
それをいくつか購入するとそこで村長さんと遭遇する。
進捗はどうかと聞かれたので明日の市で販売したいと伝えると、
「では場所を一か所とっておきましょう」
「ありがとうございます」
そういえば場所取りを忘れていたと私は思い出しながら、村長さんにお礼を言ったのだった。
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