四角い焼き菓子
こうして私はお菓子作りを始めた。
皆に渡るような量で大きさで、値段的なものも考えて、
「売れ残る可能性も考えると、これくらいかな」
これから作ろうと思っているお菓子に必要な材料の量を大まかに計算し、型に入れる料がどれくらいかなども、頭の中で計算する。
そこから売れ残る量なども考えていくと妥当な値段が出てくる。
今回は値段を下げてお試し版なので原価の割合が多くなる。
そう考えてからまずは、秤で小麦粉や木の実の粉の分量等を量っていく。
小麦の大袋はシルフに取ってもらい、木の実の粉はヘレンに持ち上げてもらう。
どちらも昨日のうちに、また沢山必要になりそうだし作っておきましょうか、という事でサナが用意しておいてくれたものだ。
ここ周辺は水も豊かであったため、その水力を利用した粉を引く場所があり、丁度サナたちが行った時は空いていた……というか誰もいなかったため大量にできたらしい。
また、いつも混んでいると聞きサナが、クロトも呼んで二人でこれだけの量を挽いてきたらしい。
そしてその予想は当たっていた。
それだけで宙に舞う粉が薄く輝いていて、こんな所に祝福が……と思ってしまう。
その間にバターを焦がして冷ましておいたり等の準備をしつつ、そこでシルフが私に聞いてきた。
「それで今回は何を作る気なんだ?」
「今はフィナンシェを作ろうと思って。四角い焼き菓子」
「そうなんだ、楽しみだな~」
「楽しみにしていてね」
そう返しながら、私は作っていく。
卵白などを混ぜている間も、今回は金色の輝きが収まらない。
お菓子によって色が変わるのだろうか? と思うが、今はそれを検証している時間はない。
混ぜ混ぜ。
そして型に入れて焼く。
生菓子よりも日持ちしそうな焼き菓子。
焼いている間、少しサナたちの様子を見ると、とても大変そうだった。
やはり二人だときついのだろうかと思っていると、ヘレンがポツリと、
「……やはり、サナ様とクロト様では、“掃除”を効率的には出来なさそうですね。く、メイドとして私は、今、葛藤しています」
どうやらあの二人の掃除の仕方がメイドとして、非効率的に感じて許せないらしい。
けれど私の手伝いもしたいらしいが……そこで、シルフの方をヘレンはじっと見て、
「……リズ様に何かしたら許しませんからね」
「大丈夫、まだ、なにもするきはないよ!」
「そうは言いましても、男なんてケダモノですからね。何度病院送りにしたことか」
ぽつりと呟いたヘレン。
ちなみにヘレンは美少女メイドとして貴族間でも有名な人物であったりするし、実の所、街中でヘレンが挑まれる勝負の殆どが、勝ったら嫁に来てくれというような花束持参での戦いであるらしい。
実際に私も遭遇したが、鮮やかに二倍の身長もあるような男を倒したヘレンはとても格好良かった。
だがそういった堂々と挑む人物達ばかりではないため、ヘレンは警戒するのだろう。
そう考えるとヘレンにとっての安心できる異性は、トレドくらいしかいないのかもしれない。
そう思いだしている私にヘレンは、
「何かありましたら大声を出してください。必ず私が駆けつけます」
ヘレンは私に言いきったのだった。
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