畑は興味があったので
こうして村おこしの販路が手に入った。
正確には手に入るめどがついた、といった所だが。
後は両親との連絡により調整だ。
村おこしをするにしても、美味しい物があったとしてもそれを知ってもらわなければだれも来てくれない。
そしてこのお菓子を知ってもらうには、より多くの人の手に渡った方がいい。
ならば都市で庶民の人達に渡るようにするのが一番いいだろう。
そう私は考えつつ、明日もここに来るというトレドと別れた。
今日は朝早くにお菓子を作ってしまったので、これからの予定は決まっていない。
終わりの方だが、一応は今日、市はやっている。
「どうしましょうか、今日は何か食べたい物がありますか?」
「私は頂いたチーズケーキで満足してしまったわ」
サナがそう言い、ヘレンも頷く。
クロトや、何かを考え込んでいるようなシルフも同じような意見だった。
もっともシルフはどこか心ここにあらずといったような雰囲気ではあったが。
そこで私はサナとクロトについて、今更ながら気づいてしまった。
「そういえば駆け落ちとはいえ、私達、サナとクロトの邪魔になっていないかしら」
「え? いえ、私はクロトと一緒に居られればそれで」
私の問いかけにサナが、恥ずかしそうに微笑む。
さらっと惚気を呟くサナに私自身も恥ずかしい様な当てられてしまったような気持になる。
クロトも今の言葉にサナの方を見て、お互い微笑みあっている。
この恋人同士というようなその雰囲気を見ながら私は、
「し、新婚さんのようなものですし私が邪魔していたら悪いかもしれないなって、今更ながら思いまして」
「あ、お気遣いなく。村おこしも私達の生活費に直結していますから。それに私達は、夜は“二人きり”ですから」
「そうなの夜は……あれ? シルフは一緒に住んでいるのでは?」
問いかけに、シルフはにこりと微笑み、サナとクロトがびくりと焦ったように震えた。
そしてサナが慌てたように、
「い、いえ、その……夜は、部屋に二人きりと、いう、意味です。“これは”嘘では、ないです」
段々とか細い声になりながら、サナは言い、クロト共に顔を赤くしている。
見ていた私の方も、なんて質問をしてしまったのだろうと思った。
そういった意味でも動けなくなっている私にそこでシルフが、
「でも今日は特にする事がないのなら、これからお菓子作りにも必要になるだろうから、今、クロト達が何を育てているのか見に行くのはどうかな? 果実畑も作ったんだろう?」
「は、はい。シルフさ……。そうですね、でも小さな苗木ですよ? 果実が実るにはまだしばらくかかりますよ? 幾ら魔法がかけてあると言っても……」
「リズの祝福が色々あったから、リズの力を借りるともっと早く手に入るかもしれないね」
「いや、まさかそんな……」
「試してみてもいいと思うけれど?」
クロトが流石にそれは無理だろうというように答える。
そして私も難しいだろうと思った。
でもサナたちの畑は興味があったので、後で案内してもらう約束を取り付けたのだった。
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