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“たまたま”だよ

 シルフが私の手を握った時、一瞬ドキリとしてしまった私。

 でも多分気のせい、気のせい。

 そう思いながら彼に手を引かれて、長閑な風景の土の道を歩いていく。


 田舎というだけに、家はポツリポツリとこの周辺はあるだけで、ほとんどが畑や森や山だ。

 けれど都会と違った温かい日差しと、さわやかな空気、今にも飛び込んでいけそうな広い青空が広がる。

 その分人はまだ出会っていない。


 ここにいるのは私とシルフの二人だけ。

 そう思うとまた変な感じになってしまうので私はそれ以上は考えないようにした。

 でもそうすると繋いだ手から、熱が伝わってきて……。


「考えない、考えない」

「どうしたんだ?」

「う、うん、何処に連れて行く気なのかなって」

「ああ、ちょっと“知人”に“お願い事”をね」

「“知人”?」

「そう、もっとも二人は俺がここにいるのには全く気付いていないだろうけれどね。どう接触して話をしようかと思っていたけれど、うん、これでいこう」

「?」


 シルフは一人で納得していて教えてくれない。

 やがて、ある一軒の家にやってくると、


「ちょっとだけ静かにしていてね。驚かせたいから」

「う、うん……」


 そう言ってシルフは背を低くして窓際に近づき、それに私も習う。

 やがて窓に近くなるにつれて声も聞こえるようになる。


「……これからどうしよう」

「大丈夫よ、貴方と一緒なら何とかなるわ」

「そ、そうかな、サナ」

「そうだよ、クロト」


 中にいるのは若い男女、私達と同い年くらいの人達のようだった。

 そこでシルフが窓硝子を軽くコツコツと叩く。

 振り返った二人が顔色を蒼白にする。


 そしてシルフは笑顔で手を振って、


「やあ、一週間ぶり」

「な、なんで、ここに」

「“たまたま”だよ。それで、リズ、女性の方がサナで、男性の方がクロト。二人とも俺の……“友人”のようなものだよ」


 そう、シルフが私に紹介したのだった。


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