手段の一つ
実は両親が私の件でとても怒っていたり、地味な仕返しをしていたり、ダイエット的な意味で酷い事になっているらしい。
私は何も悪くない、と思いつつそこで私はトレドに、
「あの令嬢コミヤも太っているの?」
「いえ、まずいと言い出してあまり食べていないので体型はそんなに変わっていないみたいですね。元々我儘で、料理人も次々変えていましたし、味より見た目のようでしたしね」
「そう。でも菓子を作ったら、あの人達に売るの? トレド」
ふと思い出して問いかけると、トレドが小さく呻いてから、
「まあ欲しがっているわけですからね……では仲介に、リズのご両親を通す、というのはいかがですか?」
「……カードになるかしら」
「なるでしょうね。欲しくて堪らないものが、リズ様の作ったものであるわけですし。需要があるのですから、こちらの方が有利な状況では売れると思います」
私は考えてみる。
このお菓子をあの私を嘲笑った貴族たちに提供するのは気に入らないが、私をはめて“悪役令嬢”に貶めた人物達が、喉から手が出るほど欲しがっているものだ。
しかも菓子は消費される。
常に、新しいものが、必要。
それをとっかかりにして、あの寝取り女コミヤの貴族への影響を減らせないか?
簡単に私達公爵家から手の平返しをした貴族達。
裏切者はまた裏切るというが、そういった相手はそれ相応の扱いをすればいい。
私はまだ、“怒っている”。
でもまだこのカードでは弱い気がする。
他の使える手段も……魔石関係も使えるだろうか?
その辺りは両親との相談が必要不可欠だ。
どうするか手を打つのは、考える時間が必要で、優先順位は、と考えた私は気づく。
「でも貴族たちの占有では、村おこしには役に立ちそうもないわ。貴族たちの分は少なくして、村おこし用に庶民の方々に渡るようにして欲しいわ。元々それが目的ですし」
「あ~、そういえばリズ様は村おこしを目的にしていたのでしたか。……高いものを一つよりも安価にして、沢山の人が手に入れられた方が、村に来てくれる都市の人も増えそうですね」
「ええ。これもいい機会だから宣伝に使おうと思うわ。そして作り主は私だと触れ込みもして欲しいの。やはり、死んだことにされるのはちょっと……」
「あ~、なるほど。でも“悪役令嬢”の呪いの話もありますのでその辺りはどうしましょうか?」
「そうね……そもそも私がいなくなって、そのような“幽霊”が大量に来る状況になる方がおかしいわね。私が生まれる前にそう言った状態になっていたとは聞いた事がないもの」
「そうですね、となると原因は別にあるのか? 一応はその原因をうちの国の王子様方は探っているようではあるのですが、まだ有効な手段は見つかっていないようですね」
「そう」
短く答えた私にトレドは何か言いたそうだった。
元婚約者で寝取られた人物。
はっきり言ってもう私は興味も何もない。
けれど不愉快な話ではあるので、私は話を変えるためにトレドに、
「それで私があげたスイートポテト、トレドは貴族に売ってしまったの?」
「それが、あまりにも美味しいんで、一つ食べて残りは俺のいた孤児院の子供達にあげてしまったんですよ。……子供の笑顔は、お金では変えないからいいんですが」
そう言って少し残念そうに肩をすくめたのだった。
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