表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/99

良い考えがあるんだ

 表面が美味しそうな色に焼けたケーキを切っていく。

 ふわふわの感触。

 今回も上手く行ったと私は思う。


 それを切り分け、少しの粉砂糖を粉雪のように降らせてから、生クリームを添えて美味しいケーキの完成だ。

 でも魔法で泡だて器を操れるのは楽でいいと思う。


「これを昔は手でやっていたなんて、信じられないわ。大変だもの。……でもどうして、卵白を泡立てることにしたのかしら、謎だわ」


 などと、その昔料理人が一生懸命考えたかもしれない内容を、何でこんな大変な事をやろうと思ったのかなと首をかしげつつ、美味しいお菓子が出来ればいいかと私は思う。

 また、メレンゲだけは少し多めに作っておいたので、それは後で形を整えて焼き菓子にすることにした。

 ただこうなってくると卵黄だけは余ってしまうのだが、それはすでにプリンやカスタードクリームの一部になっている。


 久しぶりに作ったお菓子で楽しくなり、いろいろとやってしまった。

 鮮度を保存する魔法をかけておけば日持ちする。

 こうしてお菓子を作り上げた私は、メイドのヘレンを含めてこれからお世話になるこの地方に住む人たちにも振舞う。


 美味しいと笑顔になるその人達を見て、こんな日々もいいかなとか、お菓子作りも楽しいかもと思う。

 悪役令嬢と笑われたあの世界の嘲笑がかき消されていくように感じる。

 ここに来てよかったのかもしれないと私は思いながら、その日は幸せな気持ちで眠る。


 そして次の日。

 シルフが来たのでそのケーキを紙袋に入れたものを渡して、


「久しぶりに作ったら楽しかったわ」

「……なるほど」

「もっと色々な人に喜んでもらえたらいいなとは思ったかも」

「そうか。……だったら、俺に良い考えがあるんだ」


 シルフがそういって、私の手を握ったのだった。

評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ