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どうして貴方がここに?

 手を振る金髪の碧眼の美形。

 その顔に見覚えがあったので馬車を止めてもらった。

 そして私は慌てて降りる。


 メイドのヘレンがお嬢様、と呼ぶ声が聞こえたけれど私はいてもたってもいられなかった。

 目の前にいる彼、シルフはにこやかに、


「やあ、リズ、久しぶり。といっても数日ぶりかな」

「そ、そうね」

「でも、リズは貴族だったんだね。どうも世間慣れしていないような感じはしていたけれど」

「そ、そう」

「でも、リズはリズだから。でもこれからは様付けで呼んだ方がいいのかな?」

「べ、別に今更、様づけで何て呼ばなくてもいいわ。変な感じがするし」


 私がそう返すと、シルフは分かった、これからもそうするよと答える。

 でもどうして彼がこんな場所にいるのかと思い私は、


「こんな場所にどうしているの?」

「ん? 知り合いの所に遊びに来たのだけれど、そうしたら馬車の中にリズみたいな人がいたから手を振ったんだ」

「それだけ?」

「それだけだよ」

「……先回りしていたとか?」

「なんで?」


 不思議そうに聞かれて私は、変な事を聞いてしまったと思った。

 まさかここに私が来るだろうと分かっていてここに来るはずがないからだ。

 だって私が公爵令嬢だと彼は知らなかったわけだし。


 そう私がそこで考えているとシルフが、


「でもリズの方こそどうしてこんな……」

「実は……」


 経緯を話すと、いつもならにこやかな雰囲気のシルフが珍しく眉を寄せて、


「酷いな……。上手くリズの居場所を乗っ取った形か」

「どうせ、偽物が本物になろうとしても、すぐにメッキがはがれるわよ。それの迷惑は、周りにも及ぶから面倒だけれど」

「だったらここに逃げてきて正解だな」

「確かに」


 そう話しているとほんの少し心が軽くなる。

 やはり辛いものは辛いのだから。

 と、そこでシルフが、


「それでリズはこれからここでどうするんだ?」


 そう、聞かれたのだった。

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