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全力で宣伝するしかない

 今日手作りの蒸しケーキが、楽しみにされてしまった。

 これは、断ってもらえるのだろうか? という気が私はした。

 微かな不安を覚えつつ私は、型に油を塗って蒸しケーキのタネを流し込む。


 後は事前にお湯を沸かすなどの準備をしてセットして蒸し上げる。

 時間は測る。

 そしてその間何かをお話ししようと思って、この地方の特産物などの話をサナ達から少し聞く。


 それから先ほどからにこにこと私の様子を見ているシルフを一回見てから、


「サナさんとクロトさんでしたか。シルフとはどのようなご関係ですか?」

「……私の名前は呼び捨てで構いません」

「……俺の名前も呼び捨てで構いません」


 二人そろって、シルフの顔を見ながら答える。

 ちなみにその時シルフは私の横の少し後ろ側に居てどんな顔をしているのか見えなかった。

 だから気になって振り返ってみるも、シルフは相変わらずにこやかな笑顔のままだ。


 どうやらシルフには何か秘密がありそうだと思いつつ、


「シルフとどのような関係なのでしょうか。私はその町にお忍びで出た時に出会いまして」


 それに答えたのはクロトだった。


「そ、そうですか。町でお忍びで……。えっと、直接シルフさ……と関係があるのは俺でしょうか。サナはあまり接触がなかったはずですから。俺は、シルフ……の幼馴染なのです」

「幼馴染! 昔のシルフを知っているのね!」

「……ええ、まあ」

「どんなふうだったの!」


 つい気になって聞いてしまった私にクロトが遠い目をして、


「とても活発でした。そして俺は振り回されました」

「そ、そうなんだ……」

「それよりもいいのですか? 時間みたいですよ」

「本当だ!」


 私は慌てて蒸し器のふたを開けると、型の中でふんわり丸く膨らんだケーキが出来上がっている。

 それを外に出して粗熱を取ってからみんなに配る。

 断られるのは前提だけれど喜んでもらえればいいなと私が思っているとそこでクロトが、一口食べると同時に目をくわっと見開き、


「これは……全力で宣伝するしかない!」

「美味しい、美味しすぎる、私、こんなの食べたの初めて!」


 クロトとサナがそう言ったのだった。


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