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別れた理由

 翌日。


 里沙と待ち合わせをしていた。


 実のところ、呼び出しをされてた。


 講義を終えて、急いで待ち合わせの駅に向かう。





「里沙。待たせてごめん」


 私は、里沙に駆け寄る。


「ううん。あたしも今来たところだよ」


 里沙が、笑顔で言う。


「場所、移動しようか」


 私たちは、近くのカフェに入る。


「・・・で、話って何、里沙」


 私は、席に着くと聞き出す。


「うん。実は、優基さんと結婚することになったんだ」


 里沙が、嬉しそうに言う。


「おめでとう。よかったね」


「それでね、詩織にスピーチをお願いしたくて・・・」


 なんと言う申し出・・・。


「何で私?親族だよ」


「そうなんだけど、でも・・・。詩織は、あたしの大親友なんだから、お願いできないかな・・・」


 里沙が、両手を会わせて言ってくる。


 ここまで言われたら、仕方ないか・・・。


「里沙のお願い、聞いてあげる」


「ありがとう、詩織」


 里沙の嬉しそうな声。


「どういたしまして・・・。里沙と優兄が幸せになってくれるなら、構わないよ」


 私は、笑顔で言う。


「話、変わるけど。何で、護さんと別れたの?」


 ほんと、唐突だね。


 まぁ、別れてから、二年もたてるし、話しても言いかな。


「里沙には、あのとき言ったよね。“好きだから、別れる“って」


「うん・・・」


 里沙が、不思議そうに頷く。


「あの時ね。自分は、彼の傍に居られないって思ったんだ」


 当時の時を思い出す。


「なんで?」


「私が、学校に行かなかった時があったよね」


「うん」


「あの前日に彼が、熱を出してて、私は、時間が許す限りの看病して家を出てきたんだ。・・・で、学校が終わって帰ると玄関の鍵が開いてたから、おかしいなって思いながら家に入ったら、知らない女性のヒールがあって、不思議に思って、彼の部屋をのぞいたら、ベッドに寝てる彼の傍に見知らぬ・・・サークル仲間の女性がいて、彼に告白しててさ“傍に居ていい?“とか言ってて、朦朧としてるなかで、彼は“当たり前だろ“って言ってるのを聞いたら、あの場に居られなくて、家を出て優兄のところに匿って貰ってたんだけど・・・」


「何、それ。じゃあ、護さんも悪いところあるじゃん」


 里沙が、怒る。


「でも、決定的なのは、里沙に言われて行った文化祭の時だった。その時、一番ショックだのが、彼の笑顔」


「笑顔?」


 不思議そうに言う。


「うん。あの時、本当にショックだった。彼の本当の笑顔が、私と居る時には、見せてくれなかった。だから、私が傍に居ない方がいいと判断して、別れることにしたの。ごめんね、心配させて・・・」


「ううん。そんな理由があるなんて、思いもしなかった・・・」


 里沙が、溜め息をつく。


「うん。今だから言えることだしね。あの時は、物凄く苦しくて、話すだけで、涙が溢れそうだったし・・・」


 私は、笑顔でそう告げると。


「じゃあ、今は、吹っ切れてるんだね」


「吹っ切れてっるとは、違うかな」


 今思っても、辛いことだし・・・。


「今、護さんの事どう思ってるの?」


 里沙が、真顔で聞いてきた。


「うーん。昨日、久し振りにあって、やっぱり好きだなって、思った」


 正直な気持ちだ。


「ねぇ、その話、もう一度してあげて・・・」


 里沙に言われた?


 何の事?


 私は、里沙の目線を追う。


 そこには、優兄と護が居た。


 優兄は、相変わらずニコニコしながら手を振ってる。


「里沙・・・」


 私は、どうしたらいいのかわからずに居た。


 怒りたいんだけど、それ以上の感情が押し寄せる。


「ゴメン。このあと、ライブがあるから、里沙から伝えてくれる」


 私は、里沙に告げて、席を立つ。


「優兄、ゴメン。私、用事があるから、行くね」


 優兄の横を通る時に一言言って通りすぎた。

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