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旅行計画 1

私と里沙は、生徒会室に向かっていた。

「ねぇ、詩織。ゴールデンウィーク空いてる?」

突然、里沙が言ってきた。

「空いてるけど?」

「あのさぁ。優基さんと話してたんだけど、四人で旅行に行かない?」

「四人って、護も入れて?」

「そうだよ。玉城先輩の予定は大丈夫?」

「確か、サークルで旅行に行くって言ってたから、確認しておくね」

「うん、お願いね」

四人で旅行か…。

それ、いいね。

「詩織、今日は何を話し合うの?」

「うーんとね。試合の組み合わせと、本部での仕事内容の確認と、点数をどうするかだね」

「そっか。景品を出すことになってるから、点数せいにしないといけないんだ。」

「そう。で、景品もそろそろ決めないとね」

「まだ、忙しいね」

アハハ…。

「仕方ないよね。チャッチャと済ませて、帰ろうね」

私が言うと、里沙も頷いた。


ハァー。

結局、遅くなっちゃった。

私は、学校を出ると溜め息をついた。

どうしようかな。

悩んでるところに、携帯が鳴り出した。

「はい?」

『詩織、今どこ?』

それは、護の声だった。

「今、学校出たところ。どうかした?」

「そうか…。あまりにも遅いから、心配になって…」

そこで、電話が切れた。

なんなのよ。

私は、電話を見つめていた。

すると、後ろからフワリと抱き締められる。

エッ…。

振り返ると優しい笑顔を見せる護。

「何で居るの?」

驚いて、そんな言葉しかでなかった。

「さっきも言った。心配になって、迎えに来た」

護も、たじたじだ。

「嬉しい」

私は、素直に喜んだ。

「ほら、帰るぞ」

「はーい」

私は、護の腕に自分の腕を絡める。

「ねぇ、護」

「なんだ?」

「里沙がね、ゴールデンウィークに四人で旅行しようって言ってきたんだけど、大丈夫?」

「まぁ。サークルの旅行は前半だから、後半なら大丈夫だけど」

言い淀む。

「本当?」

「ああ、本当だ」

目を細めて言う護。

「やったー。護と旅行に行けるなんて、嬉しい」

私が、声を張り上げると。

「こら、近所迷惑だろうが…」

護が私の額を小突く。

「はーい。ごめんなさい」

私は、肩を落として、落ち込む振りをする。

すると護の手が、私の頭を優しく撫でてくれる。

「エヘヘ…」

私は、それが嬉しくて笑顔になる。

護に頭を撫でられるのが、私は好き。

優しい手つきで触ってくれるから。

「夕飯、どうする?」

私の言葉に。

「準備してから来たから、帰ったら直ぐに食べられる」

って、すまし顔で答える護。

「ありがとう。ゴメンね。本当は、私がしないといけないのに…ね」

「いいよ。オレの方が慣れてるしな。それに、生徒会の方も忙しいんだろ」

「まあね。でも、護に迷惑かけてるよね」

「そんな事ないだろ。オレが、好きでやってるんだしな」

護が、優しく微笑む。

「大好き」

そう言って、頬に口付けた。

「なっ…」

狼狽える護が、可愛い。

たまには、こういう事すると楽しい。

「詩織。また、そういう事を…」

って言いながら、嬉しそうだ。

「いいじゃん。一緒に帰るのも久し振りなんだから…」

「そうだけどさ…。だからって、今しなくてもいいじゃん」

不服そうな護。

「したくなったんだから、しょうがないじゃん」

私は、膨れっ面になってみる。

すると、護が私を下から覗き込むようにして、唇を奪う。

「…ん…」

突然の事で、息が漏れる。

「可愛いことするな。今すぐ、襲いたくなるじゃんか…」

護が、真顔になる。

私は、恥ずかしくなり俯いた。

「さぁ、早く帰って、ご飯食べよう」

護の声で、顔をあげて走り出した。


その日の夕飯は、護お手製のビーフシチューだった。

「美味しい!!やっぱり、護は料理上手だね」

私は、笑顔で言う。

「詩織が笑顔になるなら、毎日でも作ってやるよ」

笑いながら言う。

「それは、やめておきます。私が上達できなくなるから…」

「大丈夫。詩織は、ちゃんと上達してるから」

クスクス笑いながら言う。

「ほんと?」

「本当。朝のロードワーク後の味噌汁とか、物凄く美味しい」

って、誉めてくれるけど…。

「それって、ただお腹空いてるだけじゃんか…」

私は口を尖らせて言う。

「そんな事無いよ。詩織の味噌汁って、心が温かな気持ちになるんだからな」

「そう言われると、照れちゃうよ」

さっきまでふて腐れてた私が、その言葉で頬が緩んじゃうよ。

「それにしても、最近本当に遅いんだな」

護が、心配そうに言う。

「うん、球技大会の準備で忙しいからね」

私の言葉に。

「球技大会か…。で、詩織は何に出るんだ?」

「私は、バスケだよ」

「バスケ!他のメンバーに迷惑かけてないだろうな」

って、変な心配をしだす。

「なっ!かけるわけ無いでしょ。私がキャプテンなんだからね」

私は、胸をそらす。

「詩織がキャプテン!運動嫌いな詩織がか?」

疑いの目を向けてくる。

「バスケは別なの。これでも中学の時に部活でやってたんだからね。しかも、キャプテンの経験もしてるんだ」

私は、維持になって言い返した。

「嘘だ」

それでも信じてくれない、護に。

「それなら、優兄や里沙に聞いてみればいいじゃない。私は嘘ついてないもん」

護から顔を背ける。

「わかったから、そう膨れるな」

って、クスクス笑い出す。

「どうせ、信じてないんでしょ」

「違うって、中学の時の詩織って、どんな風だったんだろうって、思っただけ」

「どんな風って言われても、普通だと思うけど、どうして?」

私は、不思議に思って聞いてみた。

「オレ、中学違うからさ。気になって」

護が照れながら言う。

なんか、可愛い。

「アルバムあるよ。見る?」

私が言うと。

「見たい!」

と、飛び付いてきた。

「じゃあ、とってくる」

私は、自分に部屋に行き、本棚から、中学の卒業アルバムを手にリビングに戻る。

「はい」

私は、護に手渡す。

「見せてもらうな」

そう言って、ページを捲る。

「護。里沙に電話してもいいかな?」

「明日じゃ、ダメか?」

アルバムを見ながら言う。

「早めに言っておいた方がいいと思うんだけど…」

「だったら、メールにしとけ」

そっけなく言う。

「そうだね」

私は、里沙にメールする。

“今晩は。

旅行の件だけど、護が後半なら、空いてるって言ってたので、オッケーだよ。

詩織“

送信すると直ぐに。

“わかった。

明日、何処かで待ち合わせて話し合わない

里沙“

て、返ってきた。

どうしよう。

今、護はアルバムに夢中だし…。

終わるの待っていようかな…。

「詩織。これ、お前か?」

一枚の写真を指差す。

それは、部活をしてる写真だった。

「そうだよ」

「結構、本格的にやってたんだな」

護が、感心してる。

「だから、言ったじゃん。ちゃんと部活してたって…」

「ゴメン。オレのイメージでは、文系だと思ってたから…」

「確かにそうかもしれないけど、私は運動が苦手ってだけで、運動音痴ではないんです」

私は、護に言いきった。

「わかった。だから、そんなに剥れるな」

そう言って、私の頭を撫でる。

「ねぇ、護。明日時間ある?」

「どうしたんだ?」

「里さが、明日旅行の事、話し合わないかって、メールが来てるんだけど…」

「そういう事なら、午後から家で話せばいいんじゃないか?」

って言葉が返ってきた。

「護がそれでいいなら…」

私は、里沙に。

“明日の午後一時ぐらいに家に来て。

その時に一緒に話そう 詩織“

打って、送信する。

“わかった。

優基さんと一緒にパンフだけ貰って行ね。

里沙“

返信が返ってくる。

“待ってるね。 詩織“

私が打ち返してる間に、護がアルバムを見終えていた。

「詩織って、以外と運動できたんだな」

って、感想が返ってくる。

「意外って…」

「体育祭の写真も載ってたから…」

「ああ。あの時は、リレーの選手が欠席してて、誰も出る人がいなくて、代わりに出ただけなんだけど…」

本当は、無理矢理引っ張り出されたんだけどね。

足だけは、早かったから…。

「ほんとかよ。もしかして、無理矢理引っ張り出されたんじゃないのか?」

うっ…。

鋭いな。

「詩織ってさ、お人好しだもんな」

ふーんだ。

どうせ、頼まれたら、断る事出来ません。

「そこが、詩織のいいところだがな」

何で、そこまでわかってるのかな。

私は俯いてしまった。

「何、照れてるんだ」

「だって…」

「ふーん。だったら…」

って言いながら、護が私の顎に手を添えて、顔を上げさせたかと思ったら、唇を重ねてきた。

なっ…。

「そんな顔されたら、誰だって襲いたくなるだろうが…」

護が、耳元で囁く。

私の顔が、ますます赤くなる。

「…もう…、護のバカ…」

私が、護の胸に顔を埋める。

「そういう態度も、男からしたらそそられるって、わかってやってる?」

護が、優しい声音で言う。

「そうなの?」

私は、素知らぬ顔で聞き返す。

「とぼけるなよ…。っと、他の男にはするなよ」

護の腕に抱かれながら私は、安らぎを得る。

「うん。絶対にしないよ」

私は、顔をあげて言う。

「約束な」

「約束…」

自然と唇が寄せられた。



翌朝。

護が、朝から出かける準備をしていた。

「ごめんな。サークルの練習が入ってて。午前中だけだから」

「うん、仕方ないもんね。里沙達が来る前に掃除とかしておきたかったから。今日は、ちゃんと帰ってきてよね」

この間の事があって、私は付け足した。

「わかってるって。じゃあ、行ってきます」

護も苦笑しながら言う。

「行ってらっしゃい」

軽く口付けを交わして、護が玄関を出ていく。

私は、その背中を見送ると洗濯と掃除を始めた。


暫くして、携帯が鳴り出した。

「もしもし?」

『あっ、詩織。俺だけどさぁ…』

声の主は、優兄だった。

「どうしたの?」

『実は、旅行先、俺と里沙ちゃんで決めたから…』

って、言い出す。

「何で?」

『それがさぁ、里沙ちゃんがどうしてもって言って聞かなくて、予約までしたから、キャンセル無理』

優兄が、有無を言わさぬように言う。

「皆で決めようって言ったの、里沙だよ」

『そうなんだけど、どうしても行きたいって…』

里沙が行きたい場所?

「何処にしたの?」

『北海道』

と、即答する。

北海道?

『今から、パンフレット持って行くから…』

って、電話が切れた。

まぁ、私も行きたかった場所だからいいけど…。

里沙が気になるプランでもあったのかなぁ…。

私は、二人が来るのを待つことにした。


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