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隆弥兄の激怒

「今晩は」

私は、実家の玄関を開けて家に入る。

「詩織。待ってたよ」

お母さんが、嬉しそうに迎えてくれる。

「どうしたのお母さん?ご機嫌じゃんか…」

「そう?だって、詩織が一緒にご飯食べてくれるからだよ」

エッ…。

何で?

「って、お父さんや兄達は?」

私の疑問に。

「お父さんは、出張中で居ないし、お兄ちゃん達は、忙しそうで、構ってくれないんだもん…」

お母さんが、口を尖らす。

「構ってもらえないからって…。そんな子供じゃないんだから…」

私の横で、護が苦笑してる。

「護も何か言ってよ」

私は護に言うと。

「いいじゃん、可愛くて…」

って言う始末。

「もう…。護は、お母さんに甘いんだから…」

私は、呆れてしまった。

「仕方ないだろ。オレにとっても義母はは親なんだから…」

て、護が言う。

護が、お母さんの事を義母として認めてるのが、嬉しかった。

「ほら、早くご飯食べよう」

お母さんに手を引かれて、ダイニングに移動した。


「ご馳走さまでした」

私が、手を合わせて言う。

「お粗末様でした」

お母さんも嬉しそうに言う。

「そうだ、護君。隆弥が“話したいことがあるから、帰ってくるまで待っててくれ“っていってたわよ」

お母さんが、思い出したように言う。

何だろう?

横に居た、護の顔は、青くなってるけど…。

さっき、電話で話してた事かなぁ?

私は、気になっていた。


暫くして、隆弥兄が帰ってきた。

「ただいま」

「お帰りなさい」

私は、リビングから顔を出す。

「詩織。護、借りるな」

隆弥兄が、護に視線を投げ掛け、促した。

護は、隆弥兄の後ろをついていった。

「詩織。護君が隆弥と話してる間にお風呂入っちゃいなさい」

お母さんが言う。

「はーい」

私は、自分の部屋に着替えを取りに行く。

その時。

隆弥兄の怒鳴り声が聞こえた。

何?

私は、隆弥兄のドアに聞き耳を立てた。

『お前、何やってるんだよ。詩織を泣かせて…。俺は、お前なら詩織を任せられると思ってた。このままだと、また詩織と距離をとってもらうことになるぞ』

半分、脅してるよ。

そう思いながら、黙って聞いていた。

『わかってます。オレも、詩織を泣かせたくない』

護が、はっきりと言いきる。

『じゃあ、なんで詩織は泣きながらここに帰って来るんだよ。俺は、アイツの泣き顔なんて見たくないんだよ!』

エッ…。

隆弥兄が、本気で怒ってる。

普段、こんな怒り方しないのに…。

『…………』

護が、答えれずに居る。

『何か言うことないのか?護』

隆弥兄の苛立った声。

『弁解の使用がありません。確かにオレは、自分の行動が原因で詩織を泣かせてしまった事に深く反省してます。ですが、詩織を好きな気持ちには、淀みはありません。彼女が居るからこそ、自分の道を歩み出せてる。そう思えるんです』

護の必死の言葉が胸につかえる。

『そうか。そこまで言うなら、今回だけは大目に見てやるが、次こんな事が起きたらその時は、覚悟しとけよ!』

隆弥兄の怒声に私は、背筋が正される。

『はい』

護が、部屋から出てくる気配がする。

わっ、ヤバイ。

私は、慌てて自分に部屋に入る。

見つかってないよね。

コンコン。

部屋のドアがノックされる。

「はい?」

思わず、声が裏返る。

「入るぞ」

隆弥兄が入ってきた。

「詩織。さっきの聞いてただろ」

隆弥兄が、部屋に入ってきたと同時に聞いてきた。

私は、軽く頷いた。

「…ったく…。本当に隙がないんだから…」

隆弥兄が、苦笑する。

「ゴメン。ただ、部屋に行こうとしたら、聞こえてきたから…。つい、立ち聞きしちゃった」

私が言うと、隆弥兄は困った顔をする。

「どこから聞いてたんだ?」

「“お前、何やってる“から…」

「ほとんど、最初からじゃないか…。あいつも、自分の事わかってないからなぁ…。お前のことを一番に考えているのはわかってるんだが…。それが、裏目に出てることに気付いていない。詩織の悲しむ顔は、俺もみたくないから、一様釘を出したんだが…。どうでるかわからん」

隆弥兄は、真顔で言う。

「詩織の想いも、護の想いも同じなのは、わかってるからこそ、護には頑張って欲しいんだ。詩織も、ちゃん護を支えてやれるようにな」

隆弥兄が、笑顔で私の頭を撫でる。

「そうだね。私も頑張ります」

私も笑顔を返した。

「そのいきだ」

って、豪快に笑う隆弥兄。

「詩織。お前の笑顔が一番大好きだ」

隆弥兄は、それだけ言って出ていった。

隆弥兄、ありがとう。

私は、心の中でお礼を言った。


「そろそろ帰るか、詩織?」

護に言われて、時計を見る。

十時を回っていた。

「そうだね。お母さん、ありがとう」

「ううん。私の方こそありがとう。また、一緒にご飯食べようね」

お母さんが、玄関まで見送ってくれる。

「お休みなさい」

「お休み」

私達は、お母さんに手を振る。

お母さんも、私達に手を振り返してくれた。

「護…」

「うん?」

「隆弥兄に絞られちゃったね」

私が、覗き込むように言うと。

「なっ…。何で知ってるんだよ?」

慌て出す護の姿が可愛くて、クスって笑みをこぼした。

「偶然、聞いちゃった」

「…お前……」

「…って、隆弥兄は、気付いてたけどね」

私が言うと。

「マジかよ…。ってことは、あれも聞いてたんだよな?」

護の顔が、みるみる赤くなっていく。

「あれって?」

私は、敢えてしらを切ってみた。

「聞いてないなら、別に言い…」

「“弁解の使用がありません“って、ところ?」

私が、意地悪く言うと、耳まで赤くなっていく護。

「もしかして、全部聞いてた?」

その言葉に、素直に頷いた。

すると、目線をそらした護。

「護、どうかした?」

私は、護の視線に合わせて言うと。

「あんまり見るなよ。恥ずかしいだろ…」

なんか、狼狽えてる護って、新鮮だった。

「護…愛してる…」

私は、護の頬に口付ける。

「ちょっ…。それは、反則だぞ」

護の行動がぎこちなくなる。

「反則じゃないよ。私の今の想いだから…」

護の目が、見開かれる。

「護が、私を大切にしてる事、一番知ってるから…。だから、私が今出来ることをしたいなって思っただけなの…」

「詩織…」

「それにね。私は、護が大好きだから、何時も一緒に居たいんだよ」

私は、自分で言いながら、顔が熱くなってきた。

「詩織、オレ…」

護が、言葉を言いかけたところを。

「うん、大丈夫。私も護を支えれるように頑張るから…」

遮るように言うのであった。


家に帰ると私は、宿題があったのを思い出した。

わっ…。

ヤバイな。

全然わかんないよ。

「何してるんだ?」

護が、上から覗き込んできた。

「科学の宿題。全然わかんなくて…」

私が、言うと護が。

「教えてやろうか?」

って、言ってくれた。

実家に居た頃は、隆弥兄に教えてもらってたんだけど…。

「本当?お願いします」

私は、護に向き直って、頭を下げた。

護は、優しく丁寧に教えてくれた。


「ありがとう、護。教えかた上手だね。凄く、わかりやすかった」

私が言うと。

「そうか…」

照れながら言う。

「流石、教師目指してるだけあるね」

おだててみた。

「誉めても、何もでないぜ」

護は、嬉しそうに言う。

「そんなの、わかってるよ」

私は、それだけ言って片付けると、護の為にコーヒーを淹れる。

「詩織」

「何?」

「ゴールデンウィーク、何処か行きたいところあるか?」

と、突然切り出す護。

どうしたんだろう?

「別に無いよ。護と居られれば…」

「そっか…」

心なしか、落ち込んでる気がするが…。

「どうしたの?」

そんな護に聞き返した。

「うーん。ちょっと…な」

歯切れが悪い。

「話してみてよ。私に出来ることがあるかも…」

私が言うと、渋々話し出した。

「実は、サークルで、旅行の話があって、一年は絶対参加しないといけないみたいで…。その間、詩織を一人置いていくのも忍びなくてな…。それに、この間の事もあるから、あまり行く気になれないっていうか…」

そうなんだ。

護が参加するとなると、あの二人も一緒に行くことになるのか…。

私は、複雑な感情が沸き起こる。

笑って“行ってきなよ“って言いたい。

でも、あの二人が一緒となると、話は別問題だ。

だからといって、護が先輩達に目をつけられるのも嫌だ。

私は。

「行っておいでよ。私の事は気にしなくていいよ。その間、実家に戻ってるから…」

笑顔で言うしかなかった。

「だけど…」

「大丈夫。私は、護を信じてる。だって、私には護しか居ないもん」

「そうだけど…。オレは、詩織と一緒に居たいんだけど…」

護が、寂しそうに言う。

「しょうがないじゃん。一年全員参加なんでしょ。私の事は、気にしなくてもいいから、行っておいで、お願いだから…」

「わかったよ。詩織がそこまで言うなら…」

そう言って、私の頭を撫でる。

「その代わり、お土産買ってきてね。後、家に鍵は置いていってくれるといいなぁ。合鍵を作られたら困るから…」

甘えるように言う私に。

「わかったよ。お前にあう物を探してくるよ」

護が、苦笑しながら言う。

「うん。お願いね」

私は、護の肩に自分の頭を乗せる。

護の手が、私の頬に触れてキスをする。

護の手の温もりが、私の心を溶かしていく。

「愛してる」

護の甘い声に私の頭は、何も考えられなくなる。

ずるいな。

私が、護にぞっこんなのを知ってるからこそ、出てくる言葉だよね。

私は、自分から護の膝に座って、護に口付けする。

「私も、愛してる」

護の耳元で、囁く。

「誘ってる?」

護が、聞いてくる。

「さぁ、どうでしょう…」

はぐらかしてみる。

護が、痺れを切らしたかのように、激しいキスをしてきた。

角度を変えて、何度も繰り返される。

「……んっ…」

息継ぎさえままならない。

何にも考えられない。

「………」

「このまま、ベッドに行く?」

護の言葉にそっと頷く。

護は、私を抱き抱えて護の部屋に…。

ベッドの上に下ろされて、護が上に被さる。

「詩織…。愛してる…」

甘い声と吐息を漏らされ。

「私も…」

私は、護の首に腕を回して、キスをする。

長く、深くて、甘いキスを…。

護の事が好きすぎて、他の人なんて目に入らない。

そんな私達に、災難が振り注がれた。



最後、めちゃイチャイチャモードですみませんm(__)m。

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