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心鍵
初めて見たのは光
黒く輝く光
沢山の黒い光
初めは小さな輝き
とても小さな輝き
けれど次第に強く
けれど次第に大きく
輝きは何処までも照らし
輝きは何処までも広がり
全てを包み込んで行く
全てを飲み込んで行く
木を
水を
土を
風を
『イノチ』を
初めに見たのは光
黒く輝く光
沢山の黒い光
その名は『ニンゲン』
奴らは奪う
欲しいモノは欲しいだけ
奴らは奪う
際限なく欲しいだけ
奴らは奪う
躊躇もなく欲しいだけ
奴らは奪う
自らを脅かす『イノチ』の全てを
今日も来る
奴らが来る
ワタシを奪いに
ワタシを脅かす為に
ワタシを『コロシニ』
奴らを退け続ける
いつしか奴らは言った
『マオウ』
奪い続ける奴らがワタシに与えた『ナマエ』
ワタシは生まれた
ワタシは『マオウ』
いつもの日常
当たり前の日常
ただ巡り
ただ繰り返す
奴らを退ける
それだけの日々
それだけの毎日
それだけの《ワタシ》
初めてだった
痛みを知った
小さな光
《ワタシ》の知らない光
限りなく白く
限りなく純真
純白の光
《ワタシ》の日常に巻き込まれ消えてしまった光
痛かった
ただ痛かった
躯が傷付く痛みよりも
心が傷付く痛みに怯えた
《ワタシ》は知った
これが痛み
これが《恐怖》