魔法の花火
突発的に感動モノを書きたくなったはいいものの、力不足でこのような惨状になったらしい。
しんしんと降り注ぐ雪が、月に照らされ眩しく煌めく。
ひゅるるるる……ぱーん。
星の光が溢れる夜空に、季節違いの七色の花が咲き誇る。
何度も、何度も。いくつも、いくつも。
黒いパレットを、虹の色に染めていくように。
花を打ち上げる青年からは、熱を一切感じられない。
でも、咲かせ続ける。
何かを応援している様に、幾度なく。
そんな青年に、周りの人は冷ややかな視線を送る。
誰一人、少年が咲かせた花を見上げようとせず、そのまま歩き去っていく。
いや、一人。
町のはずれの小さな病院。
その一室のベッドの上。
少女は、青年の花を見上げていた。
目に焼き付ける様に、真剣に眺め続けた。
おもむろに少女は窓を開け、動かぬ体に鞭を打ちながら立ち上がる。
瞳には大粒の涙を貯めながら、少女は呟いた。
「ありがとう」
青年の花が、また一つ夜空に咲き誇った。