第四話 解けたツインテール
全員が怪しい。一つ言えることは、被害者の部屋には本当に誰も入っていないとしか思えない。なら、本当に自殺なのだろうか。話を聞き終わった先生はすっくと立ちあがった。
「君、現場に戻るぞ」
「はい先生」
「刑事殿はこの宿全体をくまなく調べあげて下さい」
「ぜ、全体ですか!?」
「しらみつぶしに。よろしく頼みます」
冷える廊下を大股で突き進む先生。その後ろ姿をボクは追いかける。しかし、先生が立ち止まったのは、隣の部屋だった。
「ここだ。調べるべきはここだったのだ」
目は輝きを増し、頬は蒸気している。そのまま扉を引いて中に飛び込んだ。隣室は現場とまったく同じ間取りだった。入口から見て左手側にデスク、クロゼット。右手側にベッド。小さい暖炉には炭化した薪と灰が込められていた。
「先生、あれ!」
しかし、それ以上に目を奪われたのは、部屋の天井近くの隅。穴があった。5cmくらいの穴。先生は駆け込み乗車するように部屋の隅へを陣取ると、レシーブの要領で腰を落として、顎をしゃくった。ボクは靴を脱いで、先生の手に足を掛け、そのまま肩に飛び乗った。視界が一気に高くなる。そのまま穴を覗き込む。そこには事件現場にあったクロゼットの天板が広がっていた。
「繋がってます!」
「よろしい。降りてきたまえ」
ボクは先生の肩から飛び降りる。先生は窓を開けて、軽く身を乗り出す。そして、流れるようにベッドのシーツを見た。
「君、これを見ると言い」
先生の隣に駆け寄ってベッドのシーツを見てみる。くすんだシーツの上になぜか四角いシミがあった。何かを置いていたに違いない。
「ツインテールは解けたな。後は犯人だ。刑事と話そう」
「はい!先生!」
そして、ボクたちは再び談話室に戻って行った。




