廊下を歩いているだけで
廊下を歩いてただけで侍女が二人も増えた。
あのあと、さらにもう一人、侍女にして欲しいと名乗り出て来た娘がいたのだ。
ジンに訊いたら、
「よいのではないですか?
王の寵姫ともなると、衣装も住まいの道具も増えるし。
それらを管理する者も必要になります。
また、ある程度の人数を連れて歩かねば、権威が保たれません」
と言うので、とりあえず、雇うことにした。
城に上がっている時点で、身元のハッキリしたそこそこの家の娘であることは確かなようだし。
同じ会社でちょっと部署を変わる、みたいな感じかな。
いや、働いたことないんで、知らないんだが……と寧々子は思う。
だが、それでわかった。
さっき、覗き見しているわりには、パメラ様、ゾロゾロ侍女を連れて歩いていて、柱の陰にいても丸見えなんだが、と思っていたのだが。
そういう理由があってのことだったのか、と。
侍女の数を少なくして、こちらに舐められたくなかったのだろう。
そういえば、私はジン様ひとりしか連れて歩いてなかったな、と寧々子は思ったのだが、ジンにそう言うと、
「私ひとり連れて歩けば充分ではないですか。
私ひとりで侍女五人分に匹敵しますよ」
と言う。
……侍女五人分程度なんだ、とちょっと思ってしまったが、黙っておいた。
昼過ぎ、執務の間の休憩に王様が来ると伝言があった。
侍女たちが、はしゃぎ出す。
「さすが寧々子様っ。
今まで王様がお妃様がたのところで休まれることなんてありませんでしたのに」
それはあれじゃないですかね?
みなさん、常日頃からきちんとしてらっしゃるので、ダラッと休めないからなのでは……。
その程度のことでは? と寧々子は思っていたが、
「王様が来られるお妃様の住まいは勢いがあって、華やかでいいわねっ」
とメイッサすら、ちょっと浮かれていた。
みんな、王様のための飲み物や菓子などを用意しはじめた。
やがて王様の方の召使いたちが来て、また天蓋とソファなどで、寝所かな? みたいなくつろぐ場所を作りはじめる。
部屋の中にできた個室のような場所と、壁際に並べられていく果物や菓子、それに飲み物の入った壺などを眺めながら、寧々子は、
移動式のデザートビュッフェみたいだな、と思っていた。
王様の行く先々にこういうものが作られるのだろう。
やがて王様が現れた。
侍女たちと控えていると、
「お前はこちらに来ぬか」
と言われ、招かれるまま、天蓋の下のベッドのような椅子に座る。
王様にはべらないといけないのだろうが。
ちょっと遠慮があって、離れて座ってしまった。
だが、王様は、そこで、良いではないかっ、とか言いながら、腕を引っ張り、引き寄せることもなく、微笑んで寧々子を見ている。
……なんか照れるではないですか、
と寧々子は俯いた。
王様の両脇には、わりといつも、大きな孔雀の羽根みたいなものを持って、王様をあおいでいる人たちがいるのだが。
寧々子も側にいるので、その恩恵に預かっていた。
なんか申し訳ありません。
こんな小娘まであおいでいいだいて、と思う。




