第7話「冒険、それはファンタジーの証」
「ギルドカァァード!!」
夕日の中、私は手に持ったギルドカードを両手で掲げていた。
カードの表面には、見慣れない文字で私の名前が刻まれている。異世界の言葉だ。読めないけど、確かにこれは私のカードだ。
「……私、本当に冒険者になったんだ」
今まで読んできた小説の主人公たちが歩んできた道に、私も一歩踏み込んだ。世界を救う勇者も、影で誰かを守る義賊も、森の中でスローライフを送る冒険者も……全員、最初はここから始まったんだ。
「私にも、できるかな……」
平成のゆとり育ちで、成績は中の下。運動は嫌いじゃないけど得意でもない。頼れる人なんてここには一人もいない。
でも。
冒険って「できる・できない」じゃない。
「するか・しないか」だ。
「私は絶対に、この世界を冒険する……!!」
決意した。
そして数十分後、私は気づいた。
宿屋を探すという、最重要任務を完全に忘れていたことに。
「……申し訳ないんですけど、今日はもう満室で」
「そんなぁ……」
これで三件目だった。
「大丈夫かい、お嬢さん?」
宿屋の女将さん、フェリオさんが心配そうにこちらを見ている。転移初日に着ていた制服じゃなく、今は普通の街着だ。どう見ても野宿をするような格好じゃない。
「困ったな……野宿したら魔物に食べられるかもしれないし……」
「あの……一番高い宿屋ってどこですかね?」
「それなら……シジュって宿ね。確かに絶対空いてるけど……本当に高いわよ?大丈夫?」
「たぶん大丈夫です!ありがとうございました!」
「暗いから気をつけてねぇ~!!」
「気をつけまぁ~す!!」
フェリオさんはその後ろ姿が見えなくなるまで、静かに見送るのだった。
冒険は、これからだ。




