第3話「異世界ファンタジーは美しいッ!」
「凄い……」
街に入ったとき、私の口から出たのはそれだけだった。
「フフッ。気に入ってくれた?」
「はい……! 今、ものすごくドキドキワクワクしてます!!」
そこには、小説や漫画の中にしかなかった世界が、本物として広がっていた。
レンガ造りの建物が並ぶ石畳の通り。噴水の周りを走り回る子供たち。その中に狐耳の少女と犬耳の男の子がいて、二人とも楽しそうに笑っていた。
宿屋の壁にもたれかかって腕を組んでいるのは、蜥蜴のような顔立ちの大柄な男。その横を、足首まで届く黒いフードのマントを羽織り、長い木の杖をついた耳の尖った人物が静かに通り過ぎていく。
これが、異世界だ。
この世界の人々にとってはただの日常なのかもしれない。でも私にとっては、夢の中にしか存在しなかった光景だ。
(異世界は……なんて美しいんだろう……!)
涙が出そうになった。本当に。
「ほら、あそこを曲がったところが服屋だよ」
「えっ? あ、ありがとうございます!」
夢中になりすぎて、目的を全力で忘れていた。
ハイルさんはくすくす笑いながら「ティックお婆ちゃんっていう人がいるから、困ったことがあれば聞いてみて。優しい人だから」と教えてくれた。
「ありがとうございました!」
「またね、サラ」
(ハイルさん、本当に良い人だったなぁ……絶対モテるよね……)
そんなことを思いながら、私は服屋へと歩みを進めた。




