第2話「始まりの街テンパレスへようこそ!」
異世界ファンタジーといえばなんでしょうか。
魔法、チートスキル、転生……でも私が思う「これぞファンタジー!」の要素といえば、ズバリ獣人だ。
ケモ耳。
狐耳の語尾「のじゃ」とか、犬耳のわんこ系男子とか、猫耳のクールな女の子とか。
ケモ耳は異世界ファンタジーの発明だと思う。
「次の方~っと……お嬢ちゃん、一人かい?」
というわけで、私は今テンパレスという街の門の前にいた。
ここに着くまで何もなかった。本当に、スライムにも会わなかったし、貴族の馬車も通らなかったし、喋る剣も落ちていなかった。まあ、武器も防具も何もない状態でそんなことが起きたら死んでたかもしれないけど……テンプレ欲しかった!
ただ、そんな私の前にいる門番のお兄さんを見て、全部が吹き飛んだ。
(犬耳……!!!)
黒くて少し垂れ気味の犬耳が、頭の上でピコピコしている。灰色の制服がよく似合う、爽やかな青年だ。
「えっ、あ、はい……一人、です!」
「顔に何か付いてる? そんなじっと見てさ」
「はい、革命が付いています」
「……そうかい、変わった子だね。一人で大丈夫? この街の子じゃないみたいだけど」
「遠い田舎から来たんですけど……事情があってお金が全然なくて、服を売ってお金にしようかなって」
青年は少し考えてから、「じゃあ僕が案内するよ、ちょうど昼休憩だし」と言ってくれた。
こういう展開、好きすぎる。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「僕はハイル。君は?」
「サラです!案内よろしくお願いします!」
(ハイルさん……モフりたい……! ダメかな? ダメだろうな……)
「じゃあ行こっか。テンパレスへようこそ、サラ」
異世界最初に出会う人は良い人、というテンプレが発動した瞬間だった。




