夜が明けて
駅に着くと、北斗は莉子の手を取った。
北斗が「この後も一緒に居たい。」と言った。
莉子は北斗を見た。
視線が合った瞬間、北斗は莉子を連れて電車に乗った。
北斗の自宅の最寄り駅へ電車は向かった。
電車を二人で乗った。
北斗の自宅の最寄り駅に着いた。
北斗に導かれるように、莉子は北斗の自宅に着いていた。
玄関に入ってから、知らぬ間に莉子は北斗の腕の中に居た。
北斗が抱き寄せたのか、それとも莉子が胸に顔を埋めたのか、気が付くと北斗に莉子は抱き締められていた。
耳元で北斗が囁いた。
「ごめん。どうしても帰したくなかった。」
「…………うん。」
「もう少し、傍に居て欲しい。」
「………うん。」
莉子も北斗もアルコールのせいにしたくなかった。
どんなに長い時を経たんだろう。
北斗と肌を合わせた莉子は⦅温かい……この温もり……求め続けた温もり……。⦆と……頬を一筋の涙が流れた。
北斗は莉子の頬の涙を優しく拭いながら「莉子、愛してる。」と囁いた。
そして、二人で朝を迎えた。
ベッドで莉子を抱き締めながら、北斗が「おはよう。」と言った。
昔に戻ったかのような朝だった。
北斗の自宅を莉子は、北斗より先に出て会社に向かった。
莉子が北斗の家を出る時、北斗は「この家に帰って来てくれないか? 待ってるから……これからの話をしたいんだ。」と言った。
そして、合鍵を北斗は莉子に渡した。
「これ、持ってて。」
「えっ?」
「もし、莉子が先に着いたら、開けて入ってて………頼む。」
「分かったわ。」
北斗から渡された時、北斗が抱き寄せて口づけした。
そして、「絶対にここへ帰って来てくれ。頼む。」と囁いた。
莉子は頷いた。
莉子はスッキリした気分だった。
何故だか分からない。
ただ、莉子の心の中で何かが変わった。




