10/28
執着か恋か
帰宅した莉子は前の会社の同期たちとのグループLINEにメッセージを残した。
「今、帰って来たの。
さっきまで彼と一緒だった。
彼から聞いたの。別れの理由。
バカバカしい理由だった。
なんか、バカみたい私。
もう前を向く。
それから、彼、離婚したんだって
たった1年間の結婚だったって言ってた。
ごめん。もう寝るね。
おやすみなさい。」
同期たちから次々にメッセージが届いたことは、通知で分かった。
でも、読めなかった。
スッキリしたわけではなかった。
「莉子って呼ばないで。」と言ったくせに、揺れているのだ。
恨みはあった。
想いも残っていた。
今は……恨みはある。
想いは………スッキリ消えてしまわなかった。
莉子は眠れぬ夜を過ごした。
その時間で一つだけ分かったことがあった。
⦅もしかしたら、執着?
彼への執着だったのかもしれないな。
この2年間で、私の気持ちが分かるかもしれない。⦆
そう思った。
この2年間が終わった時には全てがわかるような気がした。
2年間で、莉子の心が恋だったのか、それとも執着だったのか――それが分かるような気がしている。




