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DAY X 遂に来ちゃったよね、、、


天使が外から帰って来るなり、すぐにこう言った。


「ねぇ、あきら君。いきなりなんだけどさ、、」

「なに?」


今の天使は不自然にモジモジしている。


話しにくい事かな〜、? と思った自分は、話しやすい様に若干の笑顔を添えて聴く体勢を整えた。


「あの、実はね、、」

「うん」


「もう、あきら君の所には居られないんだ」


「、、、え?」


予想外過ぎて急に何も考えられなくなった。

体も硬直し、理解しようともしない。


「実は、この前神様とかが集まる定例会議で、あきら君と仲良くなった。って話したらね、、」

「うん、」

「もうあきら君は人と慣れたって判断されて、次の人の所に行かないといけなくなっちゃって、、、」



「え、、マジ?」

「うん、マジ」


「そうか〜、、自分まだ人と慣れて無いと思うけどな〜、、、」


嫌でも、少しずつ理解してきた。


自分はもう、天使と一緒にいれない。



「その、いつから、次の人に行くの?」


「それが、、もう、今日行かないといけないみたいで、」



「え、、マジ?」

「うん、マジ」


「マジか〜、、、今日か、、」


「お別れ用のとか何も用意して無いな〜、、、どうしよ」

と、棚を探しながら言う。


「別に何もなくて良いよ〜」


「いや、そう言うわけにはいかない」


「ちなみに今日行くって、、、何時くらい?」


「もう、あと1時間くらいで行かないとな〜、って感じだね」



「え、、マジ?」

「うん、マジ」


「結構、本当に時間無いじゃん」


「そうなんだよね、、もっとあきら君と居たかったのにな、、」


「う〜ん、まぁな〜。自分も、もっとずっといると思ってたし、、」



自分は、本当に天使とはずっと一緒だと思っていた。

だから、地球のお勧めスポット行こうって言った時も場所は内緒にしていたし、正直計画を立てるのも後回しにしていた。


“いつでも行ける” そんな言葉を信じて、、、


せめてもう少し早く準備をしておけば良かったのに。


でも、そんな後悔よりも、今までの楽しかった思い出が上回ってくる。


それに、天使も帰ってきてすぐに言ったって事は、今決まったばかりだろう。

そして、すぐお別れしないといけない。

言葉にはならない感情があるはずだ。



実際、もう泣きそうになっている。



しかし、、! 自分は、泣いてお別れなんてしたくない。

楽しく笑いあってお別れがしたいんだ!

最後が、「悲しい」「寂しい」とかの感情よりも、「楽しい」「心地良い」とかの感情で終わらしたい!

それに、何より普段と変わらず接したい。


別れの涙より、笑いの涙!

まぁ、そこまで笑わせる気は無いけどね。



、、、というわけで。


「う〜ん、マジで何かあげれる物無いかな」

相変わらず、棚を探している。


「って言うか天使、次の人でも卵爆発させるなよ。あ、通称はぜ卵ね」


「もうしないよ〜、恥ずかしい」


「あの時、凄い焦ったでしょ?」


「そうだよ! 本当にビックリした! あれは死んだかと思ったね」


「そういえば、こうやって棚見てる時に天使のノート見つけたな〜」


「棚に隠してたからね〜。 家に帰った時にあきら君が持ってたから本当にビックリしたな〜」


「あれは自分もビックリした。マジやらかしたと思ったもん」


「なんなら、天使に見つかる前に一回ノート見つけてたし」


「え、!? ほんとに? 気づかなかった!」


「図書館に行く前の日に見つけたで」


「図書館の前、、? 確かに元気無いな〜とは思ったけどそう言う事だったのか、!」


「そう。あれ、精神ダメージ凄すぎて結構引きずったからな」


「そうだよね。ごめん」


「いや、別に良いけどさ。大切な自分の頑張った記録よ」


「まぁ、ノートの最後の、天使の今後のお出掛け予定みたいなの全部行きたかったけどな〜」


「私も結構しっかり予定立てたんだけどね〜」


「電車旅とかな。 ご飯食べに行くとかもあったっけ」


「そうそう! そういえばあきら君も予定立ててなかった?」


「そうなんだよな〜。色々したんだけど後回しにしちゃって、、、地球のお勧めスポット行くって言ってたのも行けなくなってしまった」


「私も楽しみにしてたけどね〜、行けなくなって悲しい」


「マジで色々、今よりもっと速く頑張らないとな〜。こうなってしまう」



ここで、ようやく天使にあげれる物を見つけた。


「あ、この、最初に天使が来た時に天からのお迎えと勘違いして書いた遺書あげるわ」


「いや、要らないよ! 何で持ってるの?ってなるじゃん!」


「大丈夫。無効になる奴だから」


「そういう問題じゃ無いでしょ」


「もう、これ以外にあげる物無いで。好きって言ってたチョコも帰宅部練のせいで今無いし、、、」


「マジで遺書あげるから。持っていってな」


「うん、まぁそこまでいうなら貰うね」


自分の遺書を天使に渡した。



「でも、やっぱ、天使が来てからちょっとずつ人が苦手じゃなくなってきた感じするな〜」


「本当に?! それは良かった! その為に来たからね。」


「確かに」


「あきら君最初来た時は私との会話も毎回緊張してる感じだったけど、今は1人で出掛けれるようになったもんね〜」


「こんな短い期間でも、人は変われるんだな。 迷わず無人レジに行っていたあの頃が懐かしいぜ」


「あ〜、そんな時もあったね〜。 入学式で隣の人ガチャした事もあったり」


「あったあった! 最初で最後のミッション失敗ね」


「そうそう。 でも、意外とその1回だけしか失敗して無いよね」


「意外とね。 まぁ、天使が居たからほとんど成功したかな」


「いや、あきら君があきらめずに頑張ったからだよ」


「え〜、、ほんとに?」


「あれ? もしかして照れてる〜?」


「っ! て、照れては無いし、、!」


「またまた〜」



、、、と、天使が来てからの話をずーっとしていました。


そして、、

「じゃあ、私そろそろ行くね」


「あ、もうそんな時間か」


「うん、、、 また、時間あったら会おうね」


「そうだな。 あ、コレ忘れてるよ。自分が昔買ったシャーペンとか」


「本当だ。ありがとう」


「あの、、! 最後に私から一つ良い?」


「なに?」



天使は、涙を流しながら話し始めた。


「あきら君は本当に頑張り屋さんだし、凄い素直だし、、、なにより私がお願いしたらすぐに叶えてくれた。それは凄い事だし、誇って良いと思う。私に出会って学んだ事をこれからあきら君の人生の為にどんどん使って欲しい。そして、人生を成功させて欲しい!」


「これが私からの最後のミッションね」


「うん、分かった。ありがとう」


自分も、何か込み上げるものを感じた。


「じゃあ、まぁ、な。 自分も言うか、、」


「あるの、?」


窓際に立つ天使を見ると、窓からの風で髪がなびき、太陽の光で涙が輝いていた。


「うん、まぁ、、 天使は、もう既に凄い頑張ってるから、、自分はあえて「頑張って」って言わないよ」


「なんなのよ、それ。 尖りすぎでしょ」


「、、、あれ、? あきら君泣いてるの?」


「ごめん、、今までこんなので泣いた事ないんだけど、、、」


「もう、行くんでしょ」


「そうだね。 じゃあ、行くね。 今までありがとう。楽しかったよ。」


「うん。ありがとう。天使」


そう、自分が言った後、天使は静かに空の方へ向き、翼を広げ、飛び立った。


その天使の後ろ姿をずっと見ていようと思ったが、真上を通り反対側へ飛び立ってしまった。


胸に手を当て、小さな声で天使の最終ミッションを達成する事を誓った。




         ーー 完 ーー



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