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◆62・冬支度を始めよう! 


 実家の情報についてはナツメさんと猫妖精たちにお願いするとして、私は本格的に冬籠りの支度を始めようと思う。ソウさんに聞いたところ、この辺りも冬は雪が結構積もるらしく、その頃には冬眠する魔獣も増えるらしい。



 前にみんなからもらった魔獣のお肉はまだあるけど、半分くらいはBBQで食べちゃったし、そのあともいろいろと料理に使ったり、みんなで食べたりしたので、一冬越せるかと言われたら、ちょっと微妙かもしれない。



〈交換ショップ〉スキルがあるので、食べ物に関してはそこまで心配はしていないけど、備えあれば憂いなしである。なので、今のうちにお肉と資金の調達をしつつ、冬を越せる家づくりもしておこうと思う。



 ドアも窓扉もできたし、ベッドルームにはもらった毛皮を敷いて、ダイニングに作ったソファ……もどきにも毛皮を掛けたけど、これで冬を迎えて平気かと言われれば、トナカイかオコジョにでも変身できれば平気としか答えられそうにない。



 何だろう……、何か寒々しいんだよね。もっと暖かみのある感じにしたい。暖房器具とかないし……。そういえば、この世界の暖房器具ってどんなんだろ? ベルツナー家には暖炉があったけど、それしか覚えてないんだよね。



 てなわけで、庭に放たれたスライムに付いて回ってたナツメさんに、この世界の暖房器具について聞いてみた。



「にゃ? 魔導板に魔法を刻んで作った魔道具か、刺繍で魔法付与した物とかが一般的だにゃ。どちらも決まった設計図のようにゃ物が必要だから、簡単には作れにゃいにゃ」

「そうなんだ。魔道具買おうかな……」

「そういう物がほしいにゃら、マジックバッグを作った時のように、にゃにかに直接魔法付与する方法で、吾輩でも、リリアンヌでも作れるぞ?」

「え⁉」



 というわけで、私は発熱する石を作ってみた。それをナツメさんに作ってもらった木の机の裏側に取り付けて、コタツっぽくするのだ! 火傷防止として、土魔法で網目状の浅い箱を作り、その中に入れてから取り付けることにする。オンオフは、面倒だけど手動で魔法を込めたり抜いたりする形式だ。



「にゃ! これはにゃかにゃか良さそうだにゃ! 吾輩の分も作るか!」



 そうね、猫がコタツに惹かれるのは致し方ないよね。でも、温度設定の注意と、長時間使用は避けるように言っておかないとね。



 とにかく、暖房に関してはどうにかなりそうなので、一旦、石に込めた魔法を抜いておく。今はまだコタツの季節じゃないからね。


 

 あとはやっぱり、家の中の布製品を増やそう。カーテンとか、クッションとか。ぬいぐるみとかも作ろうかな。猫妖精たちのぬいとか可愛いかも。



 ぬい作りは冬籠り中の趣味にするとして、お次は食料調達だね。



「冬に備えて、お肉とか、木の実とか獲りに行こうと思うんだけど」

「にゃら一緒に行くぞ。ついでにスライムも獲りに行こう!」

「もう三匹もテイムしてるのに、まだ増やすの?」

「にゃ! いろいろいた方が面白いにゃ! それにテイムすると丈夫になって、すぐに潰れたりしにゃいしにゃ!」



 結局、私よりもナツメさんの方がスライムにハマっているみたいで、そのうち、うちの庭がスライムだらけにならないかちょっと心配である。



 そのあと、ナツメさんとお出かけしようとしたら、家の周りにいた猫妖精たちも一緒に行くと言う。狩りもするけど、スライムつつきもしたいらしい。何……スライムつつきって……。



「あのぷよぷよをぷにぷにするのが楽しいにゃ~」

「潰さないようにぷよぷよするにゃん」

「ぷよぷよ~!」

「ぽよぽよ~!」



 うん、潰さないであげてね……。



 まずはお肉狩りに向かい、そのついでに木の実や薬草も採集。付いてきた猫妖精たちも、いろいろ分けてくれた。そして、今回もナツメさんは途中で「ちょっと行ってくるにゃ!」と颯爽と消え去り、戻ってきたと思ったら、ナツメさんの分だけで冬を越せそうなくらいの獲物をくれたのである。



 遠慮なくもらっちゃうことにするけど、巨大猪10頭とか、どう考えても単位がトンなんだけど……、まぁ、いいか。何かいろいろと麻痺してきた気がするけど、いいや。みんなで食べよう。



 その後は、猫妖精たちが楽しみにしていたスライムの群生地に向かい、スライムつつきをする猫妖精たちを横目に、ナツメさんが新たにテイムするスライムを吟味しているのを眺めて過ごしたのだった――。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 とある国のとある場所にて――。



 でっぷりとした体形に豪奢な衣を纏い、ギラギラと宝飾品を飾り立てた男が、どこからともなく聞こえてくる声に答える。



「孤児院を嗅ぎ回っている奴がいる?」

「はっ! それが……どうやら聖騎士のようでして」

「聖騎士だと⁉ どこの者か判っているのか?」

「第五の下っ端と思われます」

「第五か……。ちっ、平民上がりの屑共が……」

「如何致しましょう」

「…………動いているのは何人だ?」

「まだその聖騎士が一人と思われます」

「一人? 他の隊員は動いていないのか?」

「恐らく他の隊員を動かすために、先に一人で動いているものと思われます」

「なら、さっさとそ奴を排除しろ」

「はっ!」

「……いや、待て! 傀儡人形(マリオネット)の中から適当なのを見繕って当たらせろ」

「第五一人に良いのですか?」

「出来損ないであろうと、聖騎士だからな。念には念をだ」

「承知いたしました」



 指示を受けた男の気配が消えた部屋で、男は独り言つ。



「ちっ、マギリアの奴等はまだアレを見つけられないのか? アレの系譜さえ見つかれば、わざわざ孤児共を集める必要もないと言うのに……」



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― 新着の感想 ―
[良い点] 猫ちゃんいっぱいで、猫好きには嬉しいです たまーに街に行ったり、新たな妖精が増えたり、実家サイドのお話が入るので、飽きずに読めてます 主人公も家族に思うところはいろいろあるでしょうけど…
[気になる点] 聖騎士と宝石じゃらじゃらデブのお目当ては デイジーでしょうか
[一言] 悪そうな奴きたー
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