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◆54・はじめてのくえすと。


 ソウさんの実年齢はともかく、ギルド証は問題なく発行された。登録料の半銀貨5枚を、ソウさんがペロッと出してくれた。スパダリ系お爺ちゃんである。



 発行されたギルド証は銅っぽい金属に、登録した名前とランクが表記されたものだ。ネームタグっぽく、紐等を通せるような穴が空いている。



 ギルドランクはもちろんFランクで、最低ランクなのに『これがFランク!』とちょっとテンションが上がっていたりする。『異世界転生してギルド登録したらまずはFランク!』のあのFランクである。



 ギルド証が出来たので、ナツメさん達と合流し、二人にもここでは『リリィ』と呼んでもらう事にする。



 ギルドに来たついでに軽めのクエストを受けてみる事になった。現在は再びソウさんに抱っこされて、クエストボード前にいる。最初のクエストはやはり『薬草採集』に始まり『ゴブリン討伐』の流れだと思うんだけど……。



「ねぇねぇ、ソウさん! ゴブリンっている?」

「ごぶりん? 何です? それ」



 なるほど……。どうやらこの世界にゴブリンはいないようである。ぶっちゃけ、ゴブリンはいなくても全然イイのだ。可愛くないし……。どこかの世界には超チャーミングなゴブリンもいるかもしれないけど、いても会いたい訳ではない。ゴブリンにそこまで思い入れとかないし。



「ゴブリンの事は忘れて。それよりスライムは知ってる?」

「スライムって、あのぶよぶよした軟体物ですか?」

「いるの!? スライム」

「ええ、水辺には結構いますよ。特に害もないので時々つついて遊んでいる者もいますが、あれに思考力はほぼないですよ。スライムがどうかしたんですか?」

「ううん、いるか知りたかっただけ! 害がないなら今度見に行く!」

「そうですか……。あれを見ても何も面白くはないと思いますが……」

「スライムを狩ったりはしないの?」

「核を潰せば萎むだけで素材にもなりませんし、狩る必要性は感じないですね」

「なるほど……」

 


 そっかぁ……いるんだ! スライム! 害がないなら1匹ぐらい飼えないだろうか……。



「スライムって何食べるの?」

「虫か植物だと思いますよ?」

「そうなの? 何でも色々溶かしちゃったりしない?」

「…………。そこまでスライムに関心を持った事がないのでハッキリとは……」

「にゃ、魔獣の死骸を溶かしてるのは見た事あるにゃ。多分、虫以外の生物は食べにゃいにゃ」

 


 え……何そのステキ害虫駆除様。ん? 害虫以外も食べちゃうんだろうか? まぁ、益虫ばっかり食べる事はないと思うけど。



「なぁに? リリィはスライムにそんなに興味あるの?」

「うん、害がないなら飼えたりしないかな? って思うぐらいには」

「だったら魔法で従魔にすればいいわよ。リリィなら出来るでしょ」

「え!? 出来るの!?」

「意思の弱い魔生物ならテイム出来るわ。従魔にすればリリィの魔力を餌代わりに出来るし、指示を出しておけば勝手に何かを溶かしたりはしなくなるわ」

 


 マジですか……。これで私も憧れのスライムテイマーに!? ………いや、ごめん。今の今まで特に憧れてた記憶ないわ。かわいい系スライムならぷにぷにしたいなぁ……位にしか思ってなかった。



 スライム話はさておき、受けるクエストは『薬草採集』だ! いいね、ド定番!



 でも、既に持っているので採集には行かない……。手持ちの薬草を〈アイテムボックス〉からポシェットに移して、カウンターに持っていけばクエストは完了だ。



 初クエストはギルドの外に出る事なくアッサリ終了し、何だか少し物悲しくなってしまった私の頭の中では『蛍の光』が壮大に流れていた――。



 初めての報酬は半銀貨1枚と銅貨2枚。日本円換算すると1,200円である。幼女的には大金だけど、花ンヌ的にはちょっと豪華なランチ代くらいだ。



 私のスキルで薬草を《換金》すると、1本50円~100円だったけど、ギルドでは5本で1組とし、1組で100円~150円だった。前にコカトリスで差額を調べようとしてたけど、コカトリスを出すまでもなく、自分のスキルで《換金》した方が断然お得である事が判明したと言えよう。



 まぁ、ギルドのクエストはギルド証を維持出来る程度にしか受けるつもりはないので、差額は必要経費という事にしておこう。



 ギルドでの用事は終わったので、この後は街を散策するのだ!



 ――串焼き肉はどこだ!

 


 ナツメさんに美味しそうな匂いがする所が判るか聞いたら、連れて行かれたのは焼き菓子屋さんだった……。売ってるのはプレッツェルみたいなヤツと、ガレットみたいなヤツだ。



 うん……、美味しそうなのは間違いないんだけど、肉食妖精はきっとお肉の所に行くと思い込んでたよ。多分、セキさんに聞いたら間違いなくお肉の所だったかな……。



 まぁ、せっかくなのでガレットを買ってみる事にした。3人にも今日の報酬でご馳走したかったので、どれが食べたいか聞いたら、ナツメさんはプレッツェルみたいなのを選び、クロはガレットを選んだ。



 ソウさんは「幼子に払わせる訳には……」とか言って遠慮してたけど、初報酬をみんなで使いたいとゴリ押ししたら「串焼き肉の方が良いです」って言われた……。



 え? そっち? どうやらナツメさんより、ソウさんの方が肉食だったらしい。私も串焼き肉は食べたいので、そっちの屋台にも行く事にした。

 


 後で森にいる猫妖精達にもお土産を買おう――。


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― 新着の感想 ―
[一言] やっと追いつきました! 中身は成人済みでも外見は5歳なのだから、物語は緩く楽しく進んでもいいと思います! (内外にギャップが有るのも面白いでしょうけれど、作者さんひとりひとりに世界はあるので…
[気になる点] サイトの機能更新でしおりの位置が分からなくなりました。お気を付けください。
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