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◆46・来ちゃった!!!


 いつの間にか誰かの膝の上に乗っていた私は、膝の主に声を掛けられ、視線を上げた――。




 ――眩しっ!




 目が潰れそうなくらいに、白くて綺麗な人がいた……。



 白銀のような輝くサラサラロングヘアーに、オーロラの虹彩が入った神秘的な金色の眼。瞳以外はどこもかしこも真っ白で、色んな意味で『眩しい人』である。



 何より、顔がいい。



 物凄く、顔がいい。



 女の人のようにも見えるけど、多分、男の人。少し前に見たミルマン兄さんもエルフみたいに綺麗だったけど、そんなミルマン兄さんも目じゃないくらいに、ぶっちぶちのぶっちぎりで綺麗な人である。『実は女神です』とか言われても『そうですよね!』と思わず同意してしまう感じだ。多分、人間さんではないと思うけど。



 ――はい、それでは〈鑑定〉行ってみましょう……。



――――――――――――――――――――――――――――――


 ◆白竜(個体名:●●●●●●●●●●●●●)◆

 アーメイア大陸管理者。攻撃をしない限り温厚。

 体から漏れ出る高濃度魔力により、

 近付くと失神する可能性があるので、接近には要注意。

 森の管理者からの要請を受けて、大陸の浄化を行う事がある。


――――――――――――――――――――――――――――――




 ――ぶべらっ…………。




 失神していいだろうか? 意識が遠のきかけているのは、高濃度魔力のせいだ。きっとそうだ……。

 



 ――来ちゃった!!!




 ――大陸管理者様、来ちゃった!!!




 ――お竜様!!!(白目)




 え……? 何で、私、お竜様の膝に乗ってんの? いつ乗ったの? こんな白い美麗人の膝上で肉貪ってたの? そりゃ、お竜様がここにいたら、守番お鳥様もここに来るに決まってますやん。お竜様にタレの染みでも付けたら、守番お鳥様に滅されるのでは?



「あれ? 手が止まっちゃったね……。お腹いっぱいになっちゃった?」

「イイエ……」



 いいえ、お竜様。お腹いっぱいだからではなく、貴方の膝上にいる事に気付いてしまった私の脳が、もうすぐ灰になってしまいそうだからです……。




 ――(わたくし)は、貴方の眩しさに溶けて、灰になりたい……。




「ああ、お水かな?」



 メンタル瀕死の私に、お竜様がお水の入ったコップを持ち、そのまま私の口元に持ってきたと思ったら、流れるようにお水を飲まされ、どこからか取り出したハンカチらしきもので、口を拭われた……。



「…………」



 今日は私の命日なのかな? 死因は、お鳥様アタックか、お竜様シャインのどっちだろうか……。



 無我の境地でこの世を儚み始めた私は、最後の晩餐ならぬ最後の昼餐の光景をぼんやり見つめながら、お竜様にお礼を述べる事にした。



「アリガトウゴザイマス」

「ふふっ、どういたしまして。もうすぐホロホロ鳥が来そうだよ。ほら、ラキが持ってきた」



 お竜様の言葉通り、お肉がこんもり盛られたお皿を手に持った『ラキさん』こと、人型お鳥様がこちらにスタスタと近付いて来た。



「…………。ホロホロ鳥が焼けましたよ。どうぞ」

「イタダキマス」


 

 私の前で膝をついて、明らかに私に向かってズズイと差し出されたお皿を見つめて、返事を返す。



「ふふっ、ラキもリリアンヌに食べさせたいのかい?」

「…………。後で交代して頂ければ」

「その前にリリアンヌのお腹がいっぱいになっちゃいそうだよ」

「…………。では、少しだけお借りしても?」

「ふふっ、少しだけね」



 何だか、不穏な会話が聞こえた気がしたが、きっと気のせいだ……。わ~、ホロホロ鳥、美味しそう!



 私が必死にホロホロ鳥に意識を飛ばそうとしたところで、手に持っていたお皿とお箸をお竜様に取り上げられ、私はお鳥様に、お竜様のお膝から取り上げられた。



 お竜様の膝上からフェードアウト出来た事は歓迎すべき事だが、次の瞬間には、私はお鳥様の膝上にいた。



 理解が追い付かない……、否、理解したくない状況に、私はただひたすら、借りてきた猫状態で大人しくされるがままになる。



「…………。美味しいですよ」



 そう言って、私の口元にフォークで刺したお肉を持ってくるおラキ様。私は、口元に差し出されたお肉にかぶり付き、もぐもぐ、もぐもぐした……。



「オイシイデス」

「…………。ホロホロ鳥はこの辺りでは獲れないので、気に入ったのなら、また獲ってきます」

「アリガトウゴザイマス」




 虚無な(まなこ)の『ロボ花ンヌ』が爆誕した――。

 



「ラキ! 私にも寄越せ!」



 私がロボ語を習得していると、おラキ様そっくりのおラダ様が現れ、私はおラキ様の膝上から、華麗におラダ様の膝上へと移動していた。



「ほら! ちびっ娘! 食べよ!」


 

 おラダ様にもお肉を口元に差し出され、私はお肉を再度もぐもぐした……。



「オイシイデス」

「そうであろう! そうであろう!」

「…………。ラダ、雑……。リリアンヌが嫌がってる」

「嫌がってなどいないではないか! 勝手な事を抜かすな!」

「…………。リリアンヌの目が死んでる」

「何!?」

「…………」



 いいえ、おラキ様。私の目が死んでいるのはきっと、もっと前からだと思います。それから、おラダ様……、私の目をこじ開けるように、瞼を指で広げてガン見するのは止めてください。



 涙が出ちゃう――。


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― 新着の感想 ―
[一言] チートだがパンピーなOLの魂持った人がお偉方に、据え膳上げ膳の接待受けた様な物だ…(汗 幼女の胃が心配だ…ナオリソウでも気休めに噛む事をお勧めする(殴
[一言] また強烈な人(人じゃないけど!)たちが出て来ましたねー!w ロボ花ンヌちゃんの抑揚のない喋りが想像できて楽しすぎます!
[一言] ぶべら………に幼くとも淑女のあげる声じゃなくてよ!と大笑いしてしまいました。 可愛いのう。可愛いのう。 中身強かで逞しいのに外見は愛らしいとか最強。 家族サイドが出てくる度にムキャーとな…
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