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◆45・恐怖の無意識もぐもぐ。


 誰でもわかる前回のあらすじ!

 ―――――『リリたん、ボア肉BBQ開始!』



 少し厚めに切ったボア肉に程良く火が通ったら、猫妖精達の食べやすい大きさに切り分けて、お皿に盛っていく。まずは塩胡椒した物から……。



 切り分けたお肉の一切れをつまみ食いしてみた――。



「んんまぁぁぁ」



 え? これが猪肉? めっちゃ柔らかいし、クセも臭いもない。塩胡椒だけでも充分美味しいし、微かな甘みのある肉汁が滴っている。これは煮込むより、シンプルに焼いて食べるのが一番かも……。丼にするのもいいかな。



 もう少し食べたいのをグッとこらえて、まずは猫妖精達の分を配っていく。



「このままでも美味しいけど、タレもあるから欲しかったら言ってね」

「リリアンヌ、私がやりますから、使っていい分を置いておいてくれますか?」



 そう言って、人型になったソウさんが手伝ってくれる。



 ――流石、頼れる紳士な男NO.1!


 

「やだ! 美味し~!」

「にゃ……もぐもぐ、にゃ……もぐもぐ……」

「おかわり欲しいみゃ!」

「おいしい……」



 いつの間にか起きて、ちゃっかり肉を頬張るシロを含め、デカ猫組は獣人型になって、食べる事に夢中だと言うのに……。後、セキさん…もう少し味わって食べて。今、丸飲みしただろ!



 次のお肉を焼いてる間に、取り分けておいたお肉と野菜を、うまうま、もぐもぐ食べる。



 これ、カツにしても美味しそうだ。カツサンドも良さそう。後で作り置き用作ろうかな。ついでにコカトリスの唐揚げも作ろうかな。アイテムボックスのおかげで保存には困らないし、揚げ物は一度にまとめてしてしまえば、片付けも楽でいい。コロッケも作ろう。かぼちゃもまだあるし、かぼちゃコロッケとジャガイモのコロッケ、両方作ろう。



 作り置きメニューを考えながら、網に乗せたお肉をひっくり返し、野菜も追加し、口も動かす。ああ……、忙しい忙しい……もぐもぐ……。




 ――もぐもぐ……むぐむぐ。


 

 ――ごくごく……もぐもぐ……うまうま……。



 ――うまうま……もぐも……ぐ……、あれ?




 いつの間にか、ただひたすら、食べて時々飲んで、また食べて……しかしてなかった事に、結構な時間が経ってから気付いた……。



 あれ? いつの間に? 焼いてたお肉は? 猫妖精たちの分は?



「?????」



 頭に疑問符を沢山浮かべながら、不思議現象の謎に迫ろうとしたところで、自分が誰かの膝の上にいる事に気付いた……。




 ――え!?



 ――え?????

 


 ――ちょっと待って、何で今まで気付いてなかったの!? 怖っ!




 恐ろしい事実に気付いてしまった私は、まず現状把握をしようと、視線を凄まじく彷徨わせる。もはや何も見えてないんじゃないか?くらいに高速キョロキョロを開始した。



 ナツメさんたちは変わらず獣人姿で肉を頬張り、寅さんやロックくんたちを含めたチビ猫ちゃんたちも、もぐもぐお肉を食べている。



 いつの間にかBBQ台も増えてるし、食器や飲み物も増えているし、何となくお酒の匂いもしている。



 ――え? 私、これに気付いてなかったの? ヤバ過ぎない?



 衝撃の事実に固まっていたところで、前からソウさんがやって来た。



「おかわりですか? 野菜も焼けてますからね」

「あ……、はい」



 ナチュラル オブ ナチュラルにおかわりを差し出すソウさんを『Natural(ナチュラル) of(オブ) the() year(イヤー)』に叙する事にして……ちょっと! ソウさん! 前が見えないです。



「何か他に欲しいモノがありましたか? ホロホロ鳥はもう少し火を入れた方がいいですから、焼けるまで待っててください」



 ――…………?



 ――ホロホロ鳥?



 え? どっから出てきたホロホロ鳥。とりあえず、肉焼き係をソウさんがしてくれていた事は分かったけど、見知らぬ肉が増えてた。



 ついでに、見知らぬお兄さんとお姉さんも増えてた……。



 ――え!?



 ――誰!?



 まだ会った事なかった猫妖精さんだろうか?



 初めて見る浅黒い肌に金目で、赤褐色の髪色をした双子っぽいお兄さんとお姉さんを、何となく〈鑑定〉してみた。



――――――――――――――――――――――――――


 ◆ガルーダ(個体名:ラキ)◆

 大陸管理者の守番である鳥型霊獣。

 自分から攻撃を仕掛ける事はほとんどないが、

 守護領域を侵す者には、容赦なく獰猛に振る舞う。

 食べちゃダメ。


――――――――――――――――――――――――――


 ◆ガルーダ(個体名:ラダ)◆

 大陸管理者の守番である鳥型霊獣。

 自分から攻撃を仕掛ける事はほとんどないが、

 守護領域を侵す者には、容赦なく獰猛に振る舞う。

 食べちゃダメ。


――――――――――――――――――――――――――



 ――え?



 ――猫じゃない……。



「…………」



 鳥型霊獣さんだった。今は人の姿だけど……。



 しかも『大陸管理者の守番』て、何か凄そうな感じだけど、そんな守番さんが何故ここに? それと『大陸管理者』って何? 確か猫妖精達は『森の管理者』だっけ?



 てか、守番さんもソウさんと一緒に、普通にお肉焼いたり何だりしてるんだけど……いいのか? と考えてると、上から声が降ってきた。



「まだ食べられる? ホロホロ鳥はおススメだから、その分のお腹は空けておいてね」

 


 ――はっ!!!!!



 そういえば、私、誰かの膝の上にいたんだった!



 私は、そろそろと声の主を見るべく、視線を上に上げた――。

 

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