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◆16・空飛ぶ幼女は見た!

 

 ――東に向かってすぃ~っと飛ぶ。



 表示された街道らしきモノから少しズレた上空を街道に沿って進み、領都と隣町(?)の中間辺りまで来たら、一度止まってゆっくり高度を下げる。



 だだっ広い平原地帯を眼下に収め『魔物いないよね? 獣いないよね?』と、目を凝らして確認しながら地面から30センチ程の所まで降りた。とりあえず、目に付く所には何もいないことを確認して、3メートル四方くらいの〈結界〉を張り、土魔法で床を作る。



「〈アース・ウォ……フロア〉!」

 


 え? ウォールなんて言ってませんよ?



 作ったコンクリっぽい床の上に降りて、高さ1.5メートルくらいの四方の壁も作る。服を置ける台も作って、簡易更衣室にする。え? 天井から丸見え? 大丈夫、誰も見てない!



〈アイテムボックス〉から着替えを取り出し、白シャツにベージュのズボン、靴下と靴を履く。ん……靴はちょっと大きかったかな。脱げる程じゃないから大丈夫かな。次は17センチのにしとこ。



 脱いだ服をナイナイしたら、『アイテムボックスの時間検証』の為に入れておいた蝋燭の確認をする。



「ん……、変わってない?」


 

 多分、変わってない。多分、時間停止。…………。もっかい入れとこ。



 一息ついでに一口分の〈ウォーターボール〉をゴックンしたら、ポンチョも着込んでフードも被る。え? コップ? まだ使いませ~ん。もう一度自分に〈浮遊魔法〉をかけて、再び上空へ!



「〈俺は~飛べる~〉!」



 外に出れたことに高揚しながらも、出来るだけ先を急ぐ。夜が明ける前にベルツナー領を出たいし、出来ればシフ王国も出たい。



 真東に向かうと、ティングレー山脈の南側に行ってしまうので、ここからは少し北東に向かって飛ぶ。私が目指しているのは山脈の北側だ。それからしばらく飛んで〈MAP〉を見ると、隣領との境が近付いて来た。もうすぐベルツナー領ともお別れだ。哀愁とか感慨とか何もないです、ハイ。むしろ『ひゃっほぉ~ぅ!』な気分である。



 ウキウキで領境を越えてヘイマン領に入る。ヘイマン領を越えたら、いよいよ隣国『テノン』なのだ。今は下にある街道は全無視で、最短コースで飛んでいる。


 

 ヘイマン領に入ってからも最短一直線で飛び続け、空が少し白み始め出した頃、もうすぐ国境も近いなって所で、前方下から怒号のようなモノが聞こえてきた。



「え~! なになに~?」



 ちょっとどうしようか迷いながらも、自分の〈認識阻害魔法〉を信じて、少し近付いてみることにする。近付くと言っても、ギリギリ見えるかな~ぐらいの距離は取る。だって怖いもの~。



 街道から少しだけ外れた所にある開けた場所を見やると、4台の馬車とそれを守るようにしている武装集団が見えた。武装と言ってもフルプレートとかでなく、まるで冒険者の……――っ!!! そう! 冒険者のようだ!

 


「え? 冒険者ですか? 冒険者なのですか?」と、聞こえないように超小声で問いかける。



 第一冒険者ですか!? 第一冒険者が20人くらいいるけど、冒険者を目にするのは初めてだ。ホントに冒険者かは知らないけども。この状況から鑑みるに、野営中の商隊と護衛冒険者って感じだろうか?


 

 開けた場所にいる冒険者たちが、少し離れた所にある森に向かって何やら臨戦態勢を取っている。



「え~? 何かいんの!?」



 暫くすると森から、角が生えた大きいイノシシっぽいものが3頭程飛び出てきて、待ち構えていた人たちが「囲え、囲え!」「漏らすなよ!」「抜けさせるな!」とか言いながら、イノシシっぽいモノを攻撃し始める。



 ――うわ~。アレもしかして魔物なんだろうか? 多分、そうだよねぇ……。なんか角生えてるし、デッカいし……と思いながら、ハッとした!



「アレ、鑑定出来るかな」



 ドキドキしながら、冒険者達の間を抜けようと猛進して走り回るイノシシの上方に移動し〈鑑定〉してみた。



―――――――――――――――――――――


 ◆ホーンボア◆

  猪型一角魔獣。とっても凶暴。美味。


―――――――――――――――――――――




 ――短っ!




 もう、ただの一口メモですやん。説明文になげやり感を感じてしまうのは私だけだろうか。うん、でも美味しいんだね……。



 そういえば〈アイテムボックス〉に《解体》機能あったけど、アレって斃した魔物とか入れたら解体してくれるんだろうか。ちょっと怖いけど、こうやって飛びながら上から魔法でズバッと行ったらイケそうな気がするんだよね。今度、試してみよう。



 そんなことを考え出してる間にも、下の戦闘は進んでいた。既に2頭はお亡くなりだ。



 前方にいたタンクっぽい人が、突っ込んでくるホーンボアの前に回って盾をドーンッてして、ボアが一瞬フラついた隙に、横から大剣の人がズバッと1頭斃し、後方の魔法使いっぽい人が、ボアの前にタイミング良く落とし穴を作って落ちた所を、別の魔法使いが土槍っぽいモノを頭にグサーッてして、もう1頭を斃してたよ。



 え? 説明が下手? ニュアンスで感じて! 『考えるな、感じろ!』だよ。



 何だか手慣れてる感があって、後1頭もすぐ終わりそうだなとか思ったんだけど、残りの1頭を囲んでる人たちの攻撃が、全然効いてないっぽい……。


 

 え? さっきの4人、ほぼ瞬殺してましたやん。もしかして、さっきの4人は特別強い人たちなんだろうか。アレか? 『A級冒険者』とか、そんな感じの人なのか!?



 何となく好奇心が勝って、一番近くに見えている、ボアドーンしたタンクっぽい人を〈鑑定〉してしまった。



―――――――――――――――――――


 ◆ニック・マッチョーリ(24)◆

   

  【MP】510/560

 【スキル】剛力・鉄の胃

 

―――――――――――――――――――




 ――「にっく・まっちょーり……」




 もはや狙ったとしか思えない名前とスキル……。ナンデスカ? 〈鉄の胃〉って。人よりお肉がイッパイ食べられるとかデスカ?



 初冒険者遭遇とか、初魔物鑑賞とか、初戦闘観戦とか、全部どうでも良くなってしまった――。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 家名があるってことは、貴族か、上級冒険者で貴族相当だったりするか いずれにしても初手で強めなの引きましたなリリたん
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